運動方程式の立て方カンタン3ステップ



ニュートンさんの大発明である運動方程式。

全ての物理学の基本になった運動方程式ですが、運動方程式が関係してくる問題は、どんな問題でも全て3ステップで解くことができます。

例題を交えながらわかりやすく解説していきます。

 



運動方程式の立て方カンタン3ステップ

運動方程式ですが、どの問題も以下の3ステップで全て解くことができます。

運動方程式の立て方カンタン3ステップ
ステップ1:正の向きを決める

ステップ2:物体に働く力を全て書き出す

ステップ3:運動方程式に当てはめる

一つずつ解説していきましょう。

 

ステップ1:正の向きを決める

高校物理で絶対に忘れていけないのが、「力について答えるときは必ず正の向きを決めること」です。力はベクトル、つまり向きと大きさで定義される量です。ですので「〇〇の向きに××の大きさ」という形で向きと大きさをセットで考えないといけません。

正の向きを決める時「どちらを正にすればいいか?」で受験生は悩みがちです。

これ、明確には決まっていないのですが基本的に「物体のはじめの運動の向きに合わせる」と計算がしやすいケースが多いです。例えばはじめに水平方向右向きに物体が動けば右向きを正に、水平方向左向きに動き出すとすれば左を正に、という感じです。

極論、正の向きがきちんと設定されてさえいれば正の向きがどちらかはあまり関係ないんですが、物体の初動に合わせてあげると計算が楽になる場合が多いです。

ステップ1:正の向きを決める
正の向きを必ず最初に決める。運動の最初の向きを正とすると良い。

 

ステップ2:物体に働く力を全て書き出す

次に、物体に働く力を全て書き出します。これはのちの例題の中で詳しく解説していきます。

力の書き方については、こちらの記事に書かれている力の3要素についても詳しく書いてありますので合わせて読むことをおススメします。

「力の基本」をわかりやすく解説

 

ステップ3:運動方程式に当てはめる

最後に運動方程式ma=Fに書き出した力を書き込みます。ここでいうFは、物体に働く合力のことです。こちらも例題を通して詳しく解説をしていきます。

 

簡単な例題1

では、実際に運動方程式を解いてみましょう。例題その1です。

例題1
質量mの物体を糸で吊り張力Tで引っ張り上げた。重力加速度をgとした時、物体に働く加速度aを求めよ。空気抵抗は無視できるものとする。

※この問題はまず例題を自分なりに解いてみることをオススメします。画面をスクロールせず、この状態で問題文を見ながら解いてみてください。難しくはありません。

回答

では、回答です。運動方程式の基本の3ステップに当てはめていきましょう。

ステップ1:正の向きを決める

まずはじめに正の向きを決めましょう。この場合は糸にくくりつけられた物体が上むきに運動をはじめています。正の向きははじめの運動の向きに合わせるのが原則ですので、この場合は鉛直方向上むきを正としましょう。

ステップ2:物体に働く力を全て書き出す

では次にステップ2です。物体に働く力を全て書き出してみましょう。
この問題の場合、鉛直方向に物体に働く力は上向きに働く糸による張力と、下向きに働く重力ですので図のようになります。

力の3要素は「向き・大きさ・作用点」です。図のようにベクトルである力は矢印で書き出し、力が働いている点=作用点を明確に書きます。

ステップ3:運動方程式に当てはめる

最後のステップ、いよいよ運動方程式に当てはめましょう。

ここで、正の向きを鉛直方向上向きにしていますから、張力は物体にプラスに働き、重力はマイナスに働きます。よって運動方程式ma=Fに力を書き込むと、

ma=T-mg

となります。

あとはこれを加速度aについて整理してあげればOKですので、

a=\frac{T}{m}-g

これで加速度aが求まりました!

 


簡単な例題2

続いて例題その2です。

例題2
物体に繋がれたばね定数kのばねで水平方向右向きに物体を引っ張った。ばねの伸びをx、床の動摩擦係数をμ’、垂直抗力をNとした時、物体に働く加速度aを求めよ。

※こちらの問題もまず例題を自分なりに解いてみることをオススメします。

回答

ではこちらの問題も、運動方程式の基本の3ステップに当てはめていきましょう。

ステップ1:正の向きを決める

まずはじめに正の向きを決めます。この場合はバネで引っ張っている向きが正の向きです。
画像のように水平方向右向きを正にします。

ステップ2:物体に働く力を全て書き出す

では次にステップ2です。物体に働く力を全て書き出します。

この問題の場合、水平方向に物体に働く力は右向きに働くバネの弾性力kxと、左向きに働く動摩擦力\mu{'}{N}ですので図のようになります。

ステップ3:運動方程式に当てはめる

最後のステップ、運動方程式に当てはめます。

ここで、正の向きを水平方向右向きにしていますから、バネの弾性力は物体にプラスに働き、動摩擦力はマイナスに働きます。よって運動方程式ma=Fに力を書き込むと、

ma=kx-\mu{'}{N}

あとは加速度aについて整えれば、

a=\frac{kx-\mu{'}{N}}{m}

どうでしょうか?

整理して考えると運動方程式はそんなに難しいものではないはずです。

 

まとめ

まとめ

【運動方程式の立て方カンタン3ステップ】

ステップ1:正の向きを決める

ステップ2:物体に働く力を全て書き出す

ステップ3:運動方程式に当てはめる

全ての運動方程式は、この3ステップで解くことができます。

あとはひたすら練習あるのみです。

では、ここまでご覧いただきありがとうございました。

力学についてさらに詳しく勉強したい方は、こちらのまとめ記事をぜひ参考に↓↓↓

【力学についてもっと詳しく学ぶ】
力学の要点まとめ【物理の偏差値を上げる方法】

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