高校物理の波の分野でしっかりと覚えておくべき法則が「重ね合わせの原理」です。
頻出だから覚えないといけないというより、波の性質を知るために必要な基礎知識だから、という意味が強いですね。
基礎をおろそかにしていては、テストで高得点を取ることなんてできません。波を得点源にするために、基礎知識としてしっかりとマスターしちゃいましょう!
雑音の中でも音が聞こえるのはなぜ?
では重ね合わせの原理を説明する前に、ちょっとした問題から入りましょう。
満席のファミレスで家族と食事をしているシーンをイメージしてみてください。周りの席のおしゃべりって実際のところかなりの騒音ですよね。でも、周りがうるさい中でも家族の話し声は普通に聞き取ることができることができると思います。なぜでしょうか?
「そんなことに理由なんてあるの?」と思ったあなた。これにも物理的な意味がきちんとあるんです。
物理は自然の現象を理論的に説明するために作られた学問です。こういった日常の何気ないワンシーンを物理的に考えるクセをつけると、公式や原理をしっかりと理解できるので、意外と大切だったりします。
少しだけ考えてみましょう。次の章で答えを解説します。
波の独立性
なぜ騒音の中でも話し相手の声が聞こえるのか?それは波同士が独立しているからです。
もしも複数の波が合体するのだとしたら、海は常に大荒れ、津波がガンガン襲ってきて大変なことになってしまいます。
波は一つ一つが独立していて、2つの波が合体して1つになったり、1つの波が分裂して2つになるなんてことはありません。これを波の独立性と呼びます。
音も波の一種なので、独立性を持っています。騒音の中でも相手の声が混ざり合わないで聞こえるのは、音波が独立性を持っているからなんですね。
(ちなみに雑音の中でも相手の声が聞こえるのをカクテルパーティー効果と言ったりもします。受験には出ないので忘れて大丈夫です。)
重ね合わせの原理
物体と物体がぶつかると合体したり片方を弾いたりします。ビリヤードの球を棒で突くと弾かれたり、ボールを粘土のような柔らかい物体に投げつけたらめり込んだりもします。
ですが、前述のように波は独立しているため合体したり分離したりしません。いくつかの波と波がぶつかり合った場合、どんなことが起こるのでしょう?ぶつかり合って消えるのでしょうか?
その答えが重ね合わせの原理です。重ね合わせの原理の定義がこちら。
定義だけ読んでもよくわからないので例題を考えてみましょう。
例題:2つの波が重なるとどうなる?

同じ速さで進む2つの波がぶつかり合った時、波の形がどうなるか?を考えてみましょう。
まず、それぞれの波が3マス分進んだ時にどんな状態になるか考えると、波Aと波Bの位置は以下のようになります。

2つの波が重なった状態になるということです。重ね合わせの原理によれば「異なった波の変位と変位を足す」ということなので、図示すると以下のようになります。

2種類の波と波が合成された形になりますね。
ちなみに波は独立性を持つので、2つの波が通り過ぎたあとは元の波の形に戻ります。
まとめ
波の独立性:波と波は独立しておりぶつかって消えたり合体することはない
重ね合わせの原理:波と波が重なった時、合成される波の変位は重なった波の変位を合わせたものになる
以上です。
波が苦手という人は、この記事を何度も読み返して波の持つ性質をマスターしてしまいましょう!
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