本記事ではフックの法則を受験生向けにわかりやすく解説します。
バネの合成についての問題はかなりの頻出問題ですので、ぜひ本記事を参考に得意分野にしてください。
弾性力とは
バネには伸ばすと縮もうとする力が働き、縮めると伸ばそうとする力が働きます。この時のバネが物体に働かせる力を弾性力といいます。弾性力の定義はこちらです。
作用反作用の法則は、ある物体が別の物体に力を与えている時、常に2つの物体の間で力を及ぼしあうように働き、必ずペアで現れるというものでした。
弾性力の特徴は必ず反作用として働くということ。バネ単体では勝手に伸び縮みすることはなく、バネを引っ張るとその反作用として縮む力が働き、縮めると伸ばすような力が反作用として働くわけです。
フックの法則
弾性力を働かせる物体はバネ以外にもありますが、バネの弾性力は物理的にも重要なある特性を持っています。それは、バネの弾性力はバネの伸び、または縮みに比例して大きくなるというものです。この特性をフックの法則と呼びます。


フックの法則:(
:バネ定数)
はバネ定数と呼ばれる比例定数です。バネの弾性力は「バネ定数×伸び(縮み)」ですから、バネ定数が大きくなればなるほどそのバネは伸ばしにくく縮めにくいバネということですね。
補足:バネの弾性力は無限に大きくはならない
バネの弾性力がバネの伸びまたは縮みに比例するということは、バネの弾性力は無限に大きくなるのでしょうか?答えはノーです。現実世界のバネは金属でできていますから、伸ばし続ければいずれは切れてしまいますし、ものすごい圧力で潰せば元の形には戻らなくなってしまいます。
高校物理で扱うバネは、伸び縮みに綺麗に比例し続けるという現実には存在しないあくまで仮想的なものなのです。ただし高校物理の分野を超えた話なので豆知識として覚えておいてもらえばOKです。ぶっちゃけ忘れても問題はありません。
問題:2つのバネを並べた時、直列並列どちらが強くなる?
バネの弾性力の特性について、ちょっと応用的な問題を考えてみましょう。
バネ定数kの2つのバネに重さWのおもりをぶら下げる。直列で繋いだ場合と並列で繋いだ場合、釣り合ったときにそれぞれのバネ定数はどのように合成できるか答えよ。

直列vs並列
画像のようにバネ定数が同じ2つのバネに重りをぶら下げます。
すると2つのバネは合成されて1つのバネとしてみなすことができるようになるのですが、直列につなげた場合と並列につなげた場合ではバネ定数はどのように合成されるでしょうか?それぞれのパターンを考えてみましょう。
※10分ほど使って、実際に問題を解いてみてから下記に進むことをお勧めします。
直列の場合
まずは直列につないだパターンを考えてみましょう。

バネを直列に繋いだ場合
直列につないだとき、画像のようにそれぞれのバネにはおもりの重さWが均等に働いて釣り合っています。
(補足ですが、重さとはおもりに働く「重力の大きさ」のことです。つまり、この場合はおもりには大きさWの重力が働き、それがバネの弾性力と釣り合っている状態であると考えることができます。重さと重力は混同しやすですので違いを覚えておきましょう。)
つまり同じバネ定数kのバネを直列でつないだ場合、バネの伸びをとするとそれぞれのバネでフックの法則を考えたときに
→
となります。
直列でつないだバネ全体の伸びはとなりますから、合成したバネのバネ定数を
とするとバネとおもりが釣り合うとき、
→
→
以上の式より、同じバネ定数のバネを直列でつないだとき、合成されたバネのバネ定数は半分になることがわかります。つまりバネは直列につなげばつなぐほど、長くなれば長くなるほどその弾性力が弱くなるという特性を持っているということです。
並列の場合
では続いて並列の場合。

バネを並列に繋いだ場合
バネとおもりの釣り合いを考えると、画像のようにそれぞれのバネの弾性力と重さが釣り合った状態になります。つまりバネの伸びをxとしたとき、下記の式が成り立ちます。
同じバネ定数のバネを並列で接続したとき、合成されたバネのバネ定数は2倍になるということです。つまりバネは並列につなげばつなぐほど、その弾性力が強くなるという特性を持っているということです。
以上の結果から、複数のバネをつなぐ場合はバネを並列に繋いだほうがより強力なバネになるということです。
まとめ
- 力を加えられて変形をしている物体が、反作用として他に及ぼす力を弾性力と呼ぶ。
- バネの弾性力
はバネの伸びまたは縮み
に比例しその大きさは
となる。これをフックの法則と呼ぶ。
- 同じバネ定数のバネを二つ繋いだとき、直列につなぐとバネ定数が半分に、並列につなぐと2倍になる。
ぜひ本記事を参考にフックの法則の問題をたくさんといてみてください。
特にバネの合成については頻出ですので、ぜひ解けるようにしておきましょう。
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