遠心力ってなに?わかりやすく解説



この記事では円運動の単元で学ぶ「遠心力」の基礎知識について解説していきます。

遠心力は円運動の単元の中でもイメージがしにくくニガテな人が多い分野です。受験本番での出題頻度はそこまで多くありませんが、原理原則を理解していないと足をすくわれることもあるでしょう。知識の漏れがないようにしっかり学習しましょう。

  • これから物理を学ぶ高校生
  • 物理を得点源にしたい受験生

に向けて、できるだけ噛み砕いてわかりやすく解説していきますので、ぜひ最後まで楽しんで読んでください。



遠心力とはどんな力?

スピードが出ている状態で車がカーブに差し掛かると、カーブの外側に体が引っ張られた経験を誰でもしたことがあると思います。ジェットコースターで急降下するときも、お腹のあたりがふわっと浮いて放り出される感覚になりますよね。

このような現象は全て遠心力によって起こされています。まず遠心力とはどんな力か?について学びましょう。

遠心力とは

円運動をする物体の運動系から物体を観測しているとき、観測する質量mの物体には円の中心に向かう向きとは逆向きにF=m{\frac{v^2}{r}の力が働いている。この力を遠心力と呼ぶ。

遠心力の定義だけ見てもわかりにくいですが、遠心力を学ぶ上でポイントになるのは以下の2点です。

  • 観測者が物体と一緒に運動をしているとき、遠心力が中心から離れる向きにかかる
  • 遠心力の大きさは向心力F=m{\frac{v^2}{r}の大きさと同じ

この2つがなぜ重要なのか?詳しく解説していきましょう。

遠心力の正体

まず、遠心力は慣性力の一種で、慣性力の記事でも学んだように「遠心力(慣性力)は実際には存在しない力」です。

実際に存在しないなら、なぜ車で急カーブをすると体が引っ張られる感覚になるのでしょうか?それは遠心力が観測者の位置によって存在したりしなかったりする力だからです。

「存在するし存在しない」という状態は

パターン①:観測者自身が円運動をしている場合
パターン②:観測者が静止している場合

のそれぞれのパターンで、力がどのように働いているか?運動方程式を立ててみるとイメージしやすくなります。

パターン①:観測者自身が円運動をしている場合

質量m[kg]の物体が半径r[m]で速度v[m/s]で円運動している場合を考えてみます。

まず、物体と一緒に円運動する観測者の視点を考えてみましょう。自分も物体も一緒に運動をしているわけなので、観測者の視点からすると物体は静止しているように見えています。

でも、物体が円運動をしているということはつまり向心力Fが働いていないといけませんよね。向心力Fが働いているけど物体が静止しているということはつまり、向心力Fと釣り合う何かしらの力が働いているということ。こうならないとおかしいわけです。向心力と釣り合う力が遠心力、というわけですね。

内部から観測すると遠心力と向心力がつりあって静止している

円の中心に向かう向きを正とした時に、物体の力のつりあいを考えてみると、以下の式が成り立ちます。

F-m{\frac{v^2}{r}=0・・・①

パターン②:観測者が静止している場合

では次に円運動している物体を静止した観測者が観察しているパターンを考えて見ましょう。

外部から観測すると向心力だけが働く

この時向心力Fについて運動方程式を立ててみると、以下の式が成り立ちます。

F=m{\frac{v^2}{r}

①式と②式は同じ式

①式と②式を見比べてみると、①式をFについて整えると②式になりますよね。

つまりそれぞれの観測者から見た円運動する物体は、実は全く同じ運動をしていたということです。遠心力はあくまでパターン①の観測者からみてつじつまを合わせるために見かけ上存在するだけ。2つの式はどちらも同じ式です。

単純に観測者の視点が違うだけで、遠心力も円運動の運動方程式と同じ式を扱っています。この考え方がわかると、ややこしい遠心力もスッキリ理解できるようになりますね。


円運動と慣性力を学んで理解度を深めよう

遠心力は

  • 円運動
  • 慣性力

の基礎知識をしっかり覚えていないと苦戦してしまいます。特に「観測者自体が運動しているのか、それとも運動系の外から観測しているのか?」という視点はイメージしにくいので、慣性力の知識もしっかりマスターする必要があります。

以下に円運動と慣性力の解説記事のリンクを載せておきますので、ぜひ合わせて学習するようにしましょう。

【合わせて読みたい】

まとめ

遠心力は力学の中でもイメージしにくい単元です。しっかりと理解できるまで繰り返し記事を読み込んでください。読み込んで理解できたら、知識を定着させるために問題集などで例題も解いてみましょう。

では、最後まで読んでいただきありがとうございました!

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