等速円運動とは?わかりやすく解説



本記事では等速円運動についてわかりやすく解説します。
円運動では新しい概念が色々出ますので、一つずつ整理しながら一緒に理解していきましょう。



円運動の前提知識:弧度法

高校物理の分野になると、弧度法と呼ばれる方法で角度を計ります。
弧度法とはどんなものかというと、以下の通り。

弧度法とは
円を1周する角度→2π[rad]で定義する角度の決め方。
弧度法では単位rad(ラジアン)を使って表し、半径 r のおうぎ形の中心角がθ[rad]のとき弧の長さsとするとs=rθが成り立つ。

この弧度法ですが、今までの円を一周する角度を360°とする度数法と違って、はじめて習う人にとっては慣れるまでは難しい概念かもしれません。
弧度法について下記の記事で詳しく解説していますので、弧度法の理解が曖昧という方はこちらの記事を読んでから本記事を読まれることをオススメします。

弧度法と度数法の違いをわかりやすく解説

等速円運動の定義

ではまず等速円運動の定義から。

等速円運動とは
物体が同じ円周上を繰り返し回転する運動を円運動と呼び、その中で速さが一定の運動を等速円運動と呼ぶ

ヒモに5円玉を結んで回したときをイメージするとわかりやすいと思いますが、あれが円運動です。円運動する物体は円周上を繰り返し運動し、その時の速度は常に半径に対して直角に働いています。

円運動の中で特に、速さが一定の運動を等速円運動と呼びます。


角速度とは

円運動で速度は常に半径に対して直角に働きますが、実は通常の速度とは別にもう一つの新しい速度の概念を使います。
それが角速度です。

角速度の定義
角速度とは単位時間あたりの角度の変化量を表す物理量。
角速度はω[rad/s]で表すことが多い。

角速度とは、単位時間=1秒間にどれだけ角度が変化するかを表す物理量のことで、円運動を理解する上で重要な役割を果たします。
通常速度は物体の位置が1秒間でどれだけ変化したかで決まりますが、角速度はその角度バージョンということです。
例えば下の図のように、円運動する物体の中心角が1秒間の間にω[rad]だけ変化したとき「物体は角速度ω[rad/s]で円運動する」と説明をします。

周期とは

角速度の他に、円運動を理解する上で大切な概念が周期です。

周期とは
繰り返し運動をする物体がある運動の状態から次の全くおなじ運動に移るまでの時間を周期と呼ぶ。
周期は角速度ωを使い以下のように表せる。

T=\frac{2\pi}{\omega}

周期の公式の導出

周期の公式の導出方法ですが、円運動の場合、角度が2π[rad]進むまでの時間が周期と等しくなります。よって、角速度の定義から周期T[s]を下記のように求めることができます。

{\omega}T=2\piT=\frac{2\pi}{\omega}

この導出は記述式問題でも頻出なのでぜひ覚えてください。

等速円運動の基本公式〜速度・加速度・向心力〜

では、等速円運動の3つの基本公式を解説しましょう。等速円運動には、速度、加速度、向心力の3つの基本公式があります。

等速円運動の3公式
速度:v={\omega}r
加速度:a=v{\omega}(=r{\omega}^2={\frac{v^2}{r}})
向心力:F=mv{\omega}

この3つの公式は丸暗記するのではなく導出過程を理解して自分で導き出せるようにするのが必要です。

等速円運動の「速度」を導出する

ではまずはじめに速度の公式の導出から。等速円運動の速さをv、円運動の半径をrとします。
この時、物体の周期を速さと角速度の視点から着目することで速さの公式を導き出すことができます。

まず、速度に着目して周期を考えましょう。
速度に着目した時、円運動する物体は周期Tの間に円周を1周します。よって以下の①式が成り立ちます。

vT=2{\pi}r……①

では次に角速度に着目します。
角速度に着目した時、物体は周期Tの間に角度を2πだけ進めます。よって以下の②式が成り立ちます。

{\omega}T=2\piT=\frac{2\pi}{\omega}……②

あとは②式を①式に代入すると

v={\omega}r

これで円運動の速度の公式が導き出せました。
速度の導出過程を図でまとめると以下の通りです。

等速円運動の「加速度」を導出する

では等速円運動の加速度を導出してみましょう。
公式の導出の前に、等速円運動ではなぜ加速度が働くのでしょうか?

”等速”なのに加速度が働くのはなぜ?

等速円運動は名前に「等速」と入るのになぜ加速度が働くのでしょうか?
なぜなら速度のうち大きさは一定でも向きが変わるからです。
加速度は単位時間あたりの速度の変化量なので、大きさが一定でもその向きが変わっているのであればそこに加速度が働いているということです。よって速度の向きが変わる等速円運動にも加速度は働きます。

加速度の導出

よってある時間の速度の向きの変化が求まれば、等速円運動の加速度が導出できます。
ある地点Aの速度をv_A、Δt秒進んだある地点Bの物体の速度をv_Bとして加速度の公式を導出しましょう。

この時、物体の速度は図のようにΔvだけ変化をします。

ここで微小時間Δtについて考えましょう。微小時間とはものすごく短い時間の瞬間のこと。この時\vec{v_A}\vec{v_B}で囲まれた三角形は図のように半径vで中心角ωΔtのおうぎ形に近似できます。

よって弧度法の定義から

{\Delta}v=v{\omega}{\Delta}t

上記の式を変形すると以下の式になります。

\frac{{\Delta}v}{{\Delta}t}=v{\omega}

これ、左辺が速度の変化量を時間の変化量で割ったもの、つまり加速度の定義になっていますね。
よって加速度aは

a=v{\omega}(=r{\omega}^2={\frac{v^2}{r}})

以上で加速度aが求まりました。
加速度は上記の式のように3つのパターンで表すことができます。どの式を使うかは問題文でどの記号が与えられているかによって使い分けてください。
加速度は常に物体の中心方向に働いています。

等速円運動の向心力

運動方程式を考えると、加速度が働く円運動には必ず何かしらの力が働いているはずですね。
この時物体に働く力を向心力と呼びます。最後にこの向心力の定義を覚えましょう。

向心力とは
円運動の際に物体に働く力を向心力と呼び、中心方向に働く。
運動方程式から向心力を求めると
向心力:F=mv{\omega}=mr{\omega}^2=m{\frac{v^2}{r}

本記事について動画でわかりやすく解説

本記事についてはこちらの動画でも解説していますので、ぜひご覧ください。

 

まとめ

等速円運動の公式
速度:v={\omega}r
加速度:a=v{\omega}(=r{\omega}^2={\frac{v^2}{r}})
向心力:F=mv{\omega}

弧度法や角速度など、新しい概念が出てくる等速円運動は慣れるまでは時間がかかるかもしれませんね。
等速円運動の公式は、自分でも導出できるように何度も練習してください。

力学についてさらに詳しく勉強したい方は、こちらのまとめ記事をぜひ参考に↓↓↓

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力学の要点まとめ【物理の偏差値を上げる方法】

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