水面を伝う波や音など、日常的に「波」を目にする機会は多いと思います。
私たちが普段目にする波は通常一定の方向に進んでいる(ように見える)のですが、一方で動かない波も存在します。
今回はそんな動かない波「定常波」について勉強していきましょう。
目次
定常波って何?
通常、波は山と谷の位置が移動して一定方向に進むように見えますが、その場にとどまるように見える波もあります。それが定常波です。
自然界ではピアノやギターの弦を弾いた振動や、管楽器の中の空気の振動は定常波として存在しています。
弦の振動や管の振動は波動の分野でもかなり出題頻度の高い単元なので別の記事で解説していきますが、今回の記事では定常波の基本的な性質について学んでいきましょう。
定常波の特徴
まず定常波の特徴について。結論から言うと、実は定常波は一つの波ではなくそれぞれ逆に進む2つの波が重ね合わせの原理で重なった姿です。
下の画像のように、X軸を正の向きに進む波Aと負の向きに進む波Bがあったとしましょう。

それぞれの波が重ね合わせの原理によって合成された合成波は以下のようになります。

移動せず、同じ位置で振動を続けているように見えますよね。これが定常波の正体です。
腹と節
定常波には大きく振動する位置と、全く振動しない位置がありますよね。
それぞれには呼び名があって、定常波の振幅が最大になる点を腹、一方で振幅が0になる点を節と呼びます。
節:定常波の振幅が0になる点
隣り合う腹と腹(節と節)の間隔
画像を見るとわかるように、定常波の隣り合う腹と腹(節と節)の間隔は波長の半分であるになります。つまり隣り合う腹と節の間隔はそのさらに半分の
になるということですね。


隣り合う腹と節→

反射した波は定常波になる
全く同じ波が逆向きに重ね合った時に定常波ができるということは、波の反射によってできる反射波と入射波は重ね合わせの原理によって定常波になるということです。
波の反射には固定端反射と自由端反射があることはすでに別の記事でお伝えしていますが、それぞれの反射でできる定常波にはどんな違いがあるか、考えてみましょう。
固定端反射の場合
まず固定端反射の特徴を思い出してみましょう。どんなものでしたか?
そう、逆位相の入射波と反射波が重なり合うため、反射面での合成波の振幅が0になります。
つまり固定端反射の場合、反射点が節の定常波が生じることになります。
この知識は弦の振動を考える時に使うことになるので覚えておきましょう。
自由端反射の場合
では自由端の場合ですが、固定端とは逆で反射面の振幅が最大になるという性質を持っていました。
よって自由端反射の場合、反射点が腹の定常波が生じます。
この知識は気柱の振動を考える時に使うことになるので覚えておきましょう。
固定端反射と自由端反射の定常波の特徴
自由端反射→反射点が「腹」の定常波が生じる
問題:定常波の腹の数はいくつ?
ここまでで定常波の基本的な性質が理解できたと思います。
インプットのあとはアウトプットです。実際に簡単な問題を解いて、理解度を深めましょう。
答え
定常波の腹(節)を数える問題は、実際に定常波ができる様子を描いてみると簡単に解けます。原点をO、反射点をAとした時のOA間の定常波の様子を描いてみましょう。ここでのポイントは2つです。
ポイント①:定常波の隣り合う腹と腹の間隔は合成前の波の\frac{1}{2}波長となる
ポイント②:波長は2[cm]であることから、定常波の腹と腹の間隔は1[cm]
ポイント①②より定常波を描いてみると、画像のような状態になりますね。

よって腹の数は9個が正解です。
まとめ
最後に定常波の重要な特徴をまとめておきましょう。
・定常波の振幅が最大になる点を腹、0になる点を節と呼ぶ
・固定端反射の反射点は定常波の節になる
・自由端反射の反射点は定常波の腹になる
覚える性質がやや多いですが、当記事をしっかりなんども読み返して、定常波の基本をマスターしちゃいましょう!
また、定常波の応用については以下の記事で学習できるので、合わせて読んでみてください。
では、最後まで読んでいただいてありがとうございました。
コメントを残す