この記事では波動の分野で頻出の「経路差と光路差の違い」について原理原則から解説していきます。
言葉の定義をしっかりと覚えることは高校物理においてかなり重要です。ちょっとした違いをマスターできているかどうかで、受験本番の得点も大きく変わります。特に今回解説する経路差と光路差の違いはかなりわかりにくいので、注意が必要です。
- これから物理を学ぶ高校生
- 物理を得点源にしたい受験生
に向けて、できるだけ噛み砕いてわかりやすく解説していきますので、ぜひ最後まで楽しんで学んでいきましょう!
経路差と光路差ってなにが違うの?
経路差と光路差には明確な違いがあり、この違いをしっかり理解できていないと、受験本番で間違った条件で問題を解いてしまうことになります。
それぞれの言葉の定義をまず知っておきましょう。
- 経路差とは「実際の距離の差」のこと
- 光路差とは「光学的距離の差」のこと
経路差はその名前の通り、実際の距離の差を表す言葉ですが、一方で光学的距離とはどんなものなのでしょうか?
光学的距離(光路長)
光学的距離とは、実際の距離に媒質の屈折率を掛けたものです。光路長とも呼んだりします。
一般的に真空から異なる媒質を進む光の速さは遅くなります。
例えば画像のように真空から違う媒質に進むとき、それぞれの波が1波長進むだけの距離を真空中で、媒質で
としましょう。

この時、波が進んだ距離は変わりますが、光学的にみると「1波長分だけ進んだ波の状態は同じ」と考えます。真空中でも異なる媒質中でも、同じ波長だけ進んだならその光は同じ、ということです。
一般的に真空中の光速を、媒質中の光の速さを
とすると、以下の式が成り立ちます。
真空をだけ進むのも異なる媒質を
だけ進むのにもかかる時間は同じなので、
が成り立つという訳です。
光路差=光学的距離の差
光学的距離の差を光路差と言います。
例えば真空中に屈折率がで厚さ
のガラス板を設置し、光を当てたとしましょう。この時、ガラス板を透過した光が板の裏側で反射したとします。

この時
経路差:
光路差:
となります。経路差は実際の距離、光路差は光学的距離の差になるため経路差にを掛けなければなりません。光路差は媒質中で縮んだ光を元の長さに伸ばしたものとも考えることができます。
受験本番では、問題文で問われているのが経路差なのか?または光路差なのか?を理解した上で解かないといけません。
例えばヤングの干渉実験の場合は基本的に空気中(屈折率1)を通過する光について考えるため経路差=光路差として考えて良いですが、薄膜による干渉やニュートンリングの場合はガラスなどの媒質中を通過する光を考えるため、光路差を考える必要があります。
それぞれの違いについては実際に問題を解きながら慣れていきましょう。
まとめ

上記の式は薄膜による干渉やニュートンリングなど、光の干渉条件を考える問題で必ず出題される超頻出の公式です。
光路差と経路差の定義がどう違うか?本記事を何度も読み込んで、それぞれの違いをきちんと理解して問題を解くようにしましょう。
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