この記事では波動の分野で学ぶ「光の屈折」の性質について解説していきます。
屈折はレンズの分野など、波動の分野でかなりよく出題される概念なので、定義をきちんと理解して問題に臨みたいところです。
- これから物理を学ぶ高校生
- 物理を得点源にしたい受験生
に向けて、できるだけ噛み砕いてわかりやすく解説していきますので、ぜひ最後まで楽しんで学んでいきましょう!
目次
屈折の法則をおさらいしよう
光の屈折について学ぶ前に、まず屈折の法則について復習しましょう。相対屈折率と波の速さには以下の関係があることはすでに学びました。

「屈折の法則がいまいち理解できていない」という人は、以下の記事に一度目を通しておきましょう。
【合わせて読みたい】
波の屈折ってなに?わかりやすく解説してみた
相対屈折率は「媒質1から媒質2に波が進んだときの屈折のしやすさ」を表した物理量ですが、今回光の屈折では新しく絶対屈折率という物理量について学びます。
絶対屈折率
絶対屈折率とは何か?定義がこちらです。
絶対屈折率:真空からある媒質に光が進んだ時の屈折率
つまり「真空を進む光がある媒質を通過した時の相対屈折率」という、限定された条件の屈折率を表したものです。普通、屈折率といえばこの絶対屈折率のことをいいます。
水やガラス、油など、さまざまな物質の屈折率は計測されています。数字自体を覚える必要は全くありませんが、こちらのサイトに屈折率のデータがまとまっていますので、興味がある人は見ると面白いかもしれません。
参考サイト:屈折率データ
ある媒質中の光速
真空中の光速をc、ある媒質での光速をvとした時、ある媒質を通過する光の速さは以下の式で表されます。
(
:絶対屈折率)
公式の導出は簡単です。絶対屈折率は「真空を進む光がある媒質を通過した時の相対屈折率」なので、相対屈折率の公式にそれぞれの値を代入して変形するだけです。
→
水からガラスに進む光の屈折を表すには?
絶対屈折率は「真空から別の媒質に進む時の屈折率」について考えましたが、例えば空気中からガラス、ガラスから水など、様々なパターンがあります。真空以外から真空以外に光が進む場合の屈折率はどのようにして考えれば良いのでしょうか?
絶対屈折率と相対屈折率の関係を考える
媒質1と媒質2について、相対屈折率と絶対屈折率には以下の関係が成り立ちます。
:媒質1に対する媒質2の相対屈折率
:媒質1の絶対屈折率
:媒質2の絶対屈折率
相対屈折率と絶対屈折率がややこしく感じるかもしれませんが、それぞれの媒質についての相関関係を図にしてみるとわかりやすいです。

矢印の向きに光が進んでいるとイメージしてみてください。
真空・媒質1・媒質2それぞれがペアになって屈折率が設定されていると考えるとスッキリすると思います。この公式も証明は簡単です。
証明
真空中の光速を、媒質1媒質2を進む光の速さを
、
とすると、絶対屈折率の公式から以下の2式が成り立ちます。
・・・①
・・・②
あとは相対屈折率の公式に①と②を代入すればOKです。
絶対屈折率と相対屈折率の関係を発展させてみる
ここで屈折の法則を思い出しましょう。
上で導き出した式から、屈折の法則は以下の式に書き換えることができます。
・・・③
③式を書き換えると、以下の3式が成り立ちますね。
媒質1の絶対屈折率と入射角(光速、波長)をかけたものと、媒質2の絶対屈折率と屈折角(光速、波長)をかけたものがイコールになる、という式です。
式自体は覚えやすいですね。これも丸暗記するだけでなく、しっかりと導出の過程を理解して導き出せるようにしておきましょう。
まとめ
最後に公式をまとめておきます。



:媒質1に対する媒質2の相対屈折率
:媒質1の絶対屈折率
:媒質2の絶対屈折率



光の屈折は相対屈折率と絶対屈折率の関係がややこしいですが、一度でも原理原則を理解できたらそのあとは比較的簡単に問題が解けるようになります。相対屈折率と絶対屈折率の関係については、ぜひ一度その導出の流れを実際に記述してみましょう。理解度が深まるはずです。
しっかりと理解できるまで繰り返し記事を読み込んでください。読み込んで理解できたら、知識を定着させるために問題集などで例題も解いてみましょう。
では、最後まで読んでいただきありがとうございました!
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