正弦波ってなに?公式をわかりやすく解説



波の物理現象と正弦波を対応させて理解する事に苦手意識を持つ高校生が多いと思います。

数式から物理現象を理解するのはかなり難しいことですが、これが出来なければ物理を勉強してもいい成績を取れない、という事になるでしょう。

スポーツでいうと、せっかくつけた筋肉がそのスポーツに使える状態になってない人と同じです。

それでは試合で活躍できないし、プレーのレベルも上がりません。

筋肉をほぐしてプレーに生かせるようにする事が大切になります。

だからこの記事では数式と物理現象を一致させるように、分かりやすく正弦波について解説していきます。

波の物理現象を把握する上で超基本なので、必ずなんども反復して理解するようにして下さい。



正弦波とは?

正弦波を説明する前に、そもそも波とは何か?という事を解説します。

高校物理での波とは、ある点から起こった振動が周りに伝わる現象のことをいい、振動が起こった点を波源、振動を周りに伝える物質を媒質といいます。

身の回りの現象としては、声もそのうちの一種になります。

これも人の声帯(波源)を震わせることで、空気(媒質)を伝わって、周りに音が広がります。

さらに波を伝える媒質はすべてバネの性質を持っています。

逆に言うとバネの性質を持たなければ、波を伝える事が出来ません。

 

 

そして波が発生するという事は、ばねにおもりをつけて振動させるときと同じ動きをします。

このおもりの動きをグラフにすると、図のような、サインカーブを描きます。

これが正弦波です。

正弦波の式

波の式は2種類あります。

1つがy-xグラフというある時刻の波全体の様子を表すグラフです。

そしてもう1つはy-tグラフというある地点の媒質が単振動する様子を表すグラフです。

これだけではわかりにくいと思うので、もっとわかりやすく図を用いて説明します。

y-xグラフ

y-xグラフがある時刻での波全体の様子を表すグラフです。

例えば横波の例を考えましょう。

これは実際の波の様子を表すグラフになります。

例えば津波の形は目に見えますよね?

この津波のようにy-xグラフは実際に目に見える波の様子をグラフにしています。

実際に縦波が目に見えるとこのように見えます。

【合わあせて読みたい】
縦波と横波についてはコチラ

さらに正弦波の式を理解しておきましょう。

    \begin{eqnarray*}y=A\sin\frac{2\pi}{\lambda}x\end{eqnarray*}

A : 波の振幅, \lambda: 波長)

ここで波長とは、波形の1うねりの長さです。

y-tグラフ

y-tグラフはある地点の媒質が単振動するようすを表しています。

これも横波を見てみましょう。

例えばx=0の波の振動の様子を表してます。

 

この媒質が周期Tで振動するとすると、次のような式で表すことが出来ます。

    \begin{eqnarray*}y&=&A\sin\frac{2\pi}{T}t\\\\&=&A\sin\omega t\end{eqnarray*}

A : 波の振幅, T : 振動の周期, \omega:角速度)

ここで周期とは、ある点の媒質が1回振動する時間です。

y-xグラフとy-tグラフの対応

ここでy-xグラフとy-tグラフを対応させて理解しましょう。

例えば、次の横波がx軸の正の方向に進んでいる時のx=0の媒質の振動の様子を見てみましょう。

まずx=0での媒質の振動の様子を見るために、y-xグラフの波を進行方向に少しずらします。

そうするとx=0の媒質が下向きに運動していることが分かります。

という事はx=0の媒質は下向きに振動し出すので、y-tグラフは次のようになります。


正弦波の式の作り方ステップ

地点xでのy-tグラフの求め方

ここで、地点x=0の媒質が

    \begin{eqnarray*}y=A\sin\omega t\end{eqnarray*}

で振動しているとしましょう。

この時、地点xでの振動を求めていきます。

下の図を見ると、地点x=0の波が地点xに移動するまでには\frac{x}{v}秒かかります。

つまり、地点xでの媒質の振動は地点x=0での振動よりも\frac{x}{v}秒だけ遅れるという事になります。

という事は地点xでの媒質の振動は

    \begin{eqnarray*}y&=&A\sin\omega(t-\frac{x}{v})\\\\&=&A\sin\frac{2\pi}{T}(t-\frac{x}{v})\\\\&=&A\sin 2\pi(\frac{t}{T}-\frac{x}{vT})\\\\&=&A\sin 2\pi(\frac{t}{T}-\frac{x}{\lambda})\end{eqnarray*}

になります。ここでのポイントは初期条件によって地点xでの媒質の振動が変わるという事です。

例えば、地点x=0での媒質の振動が

    \begin{eqnarray*}y=A\cos\omega t\end{eqnarray*}

だと地点xでの媒質の振動が変わってきます。(例題参照)

t秒後のy-xグラフを求め方

t=0の波形を

    \begin{eqnarray*}y=-A\sin\frac{2\pi}{\lambda}\end{eqnarray*}

とします。この式は

    \begin{eqnarray*}y=A\sin 2\pi(\frac{t}{T}-\frac{x}{\lambda})\end{eqnarray*}

についてt=0を代入した式です。

この時、t秒後の波形を求めていきます。

下の図のように、t秒後の波形が波の進行方向にvtだけ平行移動した形になります。

つまり、t秒後の波形は

    \begin{eqnarray*}y&=&-A\sin\frac{2\pi}{\lambda}(x-vt)\\\\&=&-A\sin 2\pi(\frac{x}{\lambda}-\frac{vt}{\lambda})\\\\&=&A\sin 2\pi(\frac{t}{T}-\frac{x}{\lambda})\end{eqnarray*}

になります。

上の単元で求めた式と一致します。

数式と実際の物理現象のイメージを一致させるための勉強法

この記事で特に重要なのは、

数式と実際の物理現象を一致させる

ことです。

簡単に言うと、数式で物理現象をイメージできる、物理現象から数式がイメージできることが必須になります。

そうしなければテストで本質的な問題が出題された時に撃沈します。

野球のピッチャーが自分の投げるカーブの軌道を分からなければ、しっかりとしたコントロールでボールを投げれないですよね。

お気をつけて。

これは他の力学や電磁気でも重要になるのですが、波動のこの部分は結構難しいと思うので、何度も反復する必要になると思います。

実は僕は浪人時代にこれを理解するために何度もこのブログに書いることを反復学習しました。

紙に書いて、お風呂でぶつぶつしゃべりながら復習して。

これくらいしないと深く理解は出来ないんですよね。

でもこれを出来るようにしたことで、本質的な問題に対応できる様になりましたし、波動で数式を扱う問題もかなり解けるようになりました。

この土台はこの記事で全て学べます。

それでは最後に練習問題をしましょう。

正弦波の式を用いた問題

問題

x=0での媒質の振動が図のように

    \begin{eqnarray*}y=A\cos 2\omega t\end{eqnarray*}

の時、地点xでの媒質はどのような振動をしているか。

問題の解答

地点xには、地点x=0の媒質の振動が\frac{x}{v}秒だけ遅れるので、地点xの媒質の振動は

    \begin{eqnarray*}y=A\cos 2\pi(\frac{t}{T}-\frac{x}{\lambda})\end{eqnarray*}

になります。

各自グラフを描いてイメージするようにしましょう!

この記事のポイントまとめ

ポイント
  • y-xグラフの式

        \begin{eqnarray*}y=A\sin\frac{2\pi}{\lambda}x\end{eqnarray*}

  • y-tグラフの式

        \begin{eqnarray*}y=A\sin\omega t\end{eqnarray*}

  • t秒後、地点xでの波の式

        \begin{eqnarray*}y=A\sin 2\pi(\frac{t}{T}-\frac{x}{\lambda})\end{eqnarray*}

    初期条件によってことなる

  • 数式と物理現象を一致させるようにする
波動についてさらに詳しく勉強したい方は、こちらのまとめ記事をぜひ参考に↓↓↓

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波動の要点まとめ【物理の偏差値を上げる方法】

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