この記事では波動の分野で学ぶ「光の反射(全反射)」の性質について解説していきます。
光の反射と全反射については、条件をしっかりと覚えないとケアレスミスに繋がってしまうことも多く、しっかりと基本をマスターしておきたいところです。当記事で光の反射(全反射)の基礎をしっかり身につけていってください。
- これから物理を学ぶ高校生
- 物理を得点源にしたい受験生
に向けて、できるだけ噛み砕いてわかりやすく解説していきますので、ぜひ最後まで楽しんで学んでいきましょう!
光は反射する
真っ暗な部屋で懐中電灯をつけると、光が直進する様子が観察できますよね。基本的に遮るものがない限り、光は直進しますが、例外があります。例外は以下の2つです。
- 反射する
- 屈折する
例えばガラス窓や鏡にライトを当てると、反射してピカッと光りますよね。鏡に自分の姿が映るのも、物体の像が反射することが原因です。
(※光の屈折についてはこちらの記事で解説しているので気になる方は読んでみてください。このあと解説する「全反射」には光の屈折の知識が必要なので、事前にチェックしておきましょう。)
「光は反射する」というのは日常生活の中でも良く見る現象ですが、実際のところ物理的にはどのような意味を持つのでしょうか?光の反射の法則について学んでみましょう。
光の反射の法則
光の反射には法則があります。それがこちら。


平らな鏡で光が反射した時を考えてみましょう。反射面に垂直な線(法線)と入射光がなす角度を入射角、法線と反射光がなす角度を反射角
とするとき、図のように
と
の角度は同じになります。

入射角=反射角
鏡の向こうには、自分と同じ動きをする左右反転した自分がいる世界があるように見えます。
鏡に写り込んだ物体を像と呼びますが、像は物体と対象な位置にあるように見えますよね。これは私たちの脳が、目に入った光が鏡の向こう側の延長線上から直進してきたと錯覚するために、鏡の向こうに物体があるように見えているのです。

鏡の中の像を錯覚している
全反射
光の反射でもう1つ理解しておきたいのが「全反射」という現象です。全反射とはその名の通り媒質の境界で光が全て反射する現象のことです。
全反射の条件
光が全反射するかどうかには、ある条件があります。その条件とはこちら。
全反射の条件:
:媒質1の屈折率
:媒質2の屈折率
一般的に空気よりも水の方が屈折率が大きくなります。例えば
- 空気側から水面に光を当てた時
- 水中から水面に光を当てた時
をそれぞれ考えてみましょう。
①の屈折率の小さい媒質から屈折率の大きい媒質に進む場合、屈折の法則によって屈折角は入射角よりも小さくなります。逆に②の屈折率の大きい媒質から屈折率の小さい媒質に進む場合、屈折角は入射角よりも大きくなります。
②のパターンの場合、入射角を徐々に大きくしていくと屈折角がちょうど90°になり、屈折した光が水面と平行に進むようになります。

臨界角で屈折角が90°になる
入射角が臨界角以上になると、光を全て反射するようになり、これを全反射といいます。全反射の条件についてはしっかりと覚えておきましょう。
臨界角
全反射についてもう1つ覚えておきたい物理用語が臨界角です。
臨界角:屈折角が90°となる入射角を臨界角という
臨界角を超えると、光は屈折せずに全反射するようになります。
全反射の性質を利用した光ファイバー
全反射の性質を利用したのが、光通信に使われる光ファイバーです。
光ファイバーは屈折率の大きいガラス繊維をより屈折率の小さいプラスチックで包んだ構造をしています。
光ファイバーに入射する光は入射角が臨界角より大きくなるように設定されています。そのためケーブルがくねくねと折り曲がっていても、全反射を繰り返しながら進んでいきます。全反射の反射率は100%のため、光の信号は弱まることなく確実に情報を伝えてくれるというわけです。

光ファイバーの構造
全反射の問題を解いてみよう
全反射の性質を理解するために、簡単な問題を解いてみましょう。


制限時間は3分です。実際に紙とペンで問題を解いてみてから、先を読むようにしてみてください。
答え
【解説】
全反射するときの屈折角は90°になります。この時屈折の法則から以下の式が成り立ちます。
→
→・・・(答)
よって、臨界角は45°になることがわかりました。
まとめ
全反射の条件や原理について、しっかりと理解できるまで繰り返し記事を読み込んでください。読み込んで理解できたら、知識を定着させるために問題集などで例題も解いてみましょう。
では、最後まで読んでいただきありがとうございました!
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