運動エネルギーって何?わかりやすく解説



エネルギーという言葉は日常生活でも馴染みが深いですが、力学の分野では運動エネルギーと位置エネルギーの2種類を勉強します。

本記事では運動エネルギーについての解説をしますが、運動エネルギーについて公式は知っていても、なぜその公式になるのか?その本質をきちんと理解している人は少ないかもしれませんね。

どれだけ本質を理解できているかが物理の偏差値がアップするかしないかを決める重要な要素ですので、本記事で一緒に勉強していきましょう。



仕事とエネルギーのおさらい

運動エネルギーについて解説をする前に、仕事とエネルギーの定義について一緒におさらいをしておきましょう。
まずは仕事の定義から。

仕事の定義
仕事とは、力Fと物体が移動した距離xで表される物理量のこと。
物体にした仕事をWとした時、

W=Fx[j]

では次にエネルギーの定義。

エネルギーの定義
エネルギーとは、物体が持つ仕事をする能力のこと

つまり、エネルギーを持っていればいるほど、物体は仕事をする能力を持っているということです。エネルギーを理解するためには仕事も同時に理解しないといけないということですね。
仕事のエネルギーの関係についてはこちらの記事でも詳しい解説を書いてありますので参考にしてください。

物理学の仕事は簡単!シンプルな3つのルールわかりやすく解説

 

運動エネルギーって何?

では運動エネルギーとは一体なんでしょうか?

例えばビリヤードの杖でボールを突くと、そのボールは突かれた方向に進みます。自動車が他の自動車にぶつかると、バンパーが歪んだりガラスが割れたりして壊れます。

運動をしている物体が何か他の物体にぶつかると、その物体が動いたり変形をしたりします。エネルギーの正体が「物体が持つ仕事をする能力」のだとすると「物体を動かしたり変形させる=その物体はエネルギーを持っている」といえますね。この時物体が持っているエネルギーを「運動エネルギー」と呼びます。

運動エネルギーとは
運動する物体が持つ仕事をする能力のこと

物理学の目的は「物理現象を数式を使って説明する」ということはこちらの記事でもお話しましたが、では運動エネルギーとはどのように定義されるものなのでしょうか?


運動エネルギーの公式

質量mの物体が速度vで運動している時、その物体がもつ運動エネルギーはこのように定義されます。

運動エネルギーの公式
運動エネルギー:K=\frac{1}{2}mv^2

運動エネルギーは記号Kを使って表されることが多いです。

この公式自体は頻出中の頻出なので覚えておいたほうが良いですが、物理で偏差値をあげるためには「なぜその公式が導出されるのか」その理由をきちんと理解していないといけません。また、一部大学のAO入試などでは口頭試問の問題でも頻出なので公式の導出過程は覚えておいて損はないでしょう。

では、公式の導出を一緒に勉強しましょう!

運動エネルギーを調べる実験

運動エネルギーの公式を導出するにあたり、こんな実験をしてみましょう。
下の画像のように、ピストルで粘土でできた充分厚い壁に弾丸を打ちこんでみます。すると弾丸はある程度進んでから粘土にめり込んで止まりますよね。

ピストルから打ち出された弾丸は運動エネルギーを持っています。その弾丸が粘土の壁の中で止まったということは、弾丸がもつ運動エネルギーは粘土がした仕事よって消費されたということ。つまり「粘土が弾丸にした仕事が弾丸が持っていた運動エネルギーに等しい」ということです。

弾丸の質量をm[kg]、弾丸の速さv[m/s]、弾丸はx[m]だけ進んで停止し、減速するときの加速度は a[m/s^2]で一定、弾丸が粘土を押す力をF[N]として条件を設定します。

空気抵抗は無視できるとして右向きを正としたとき、弾丸についての運動方程式を立てましょう。
この時、弾丸が粘土から受ける力は作用反作用の法則から-F[N]となります。よって弾丸の運動方程式は

ma=-F……①

となります。

弾丸が粘土にめり込んで減速するとき、弾丸は等加速度直線運動をします。この時、等加速度直線運動の公式から

0^2-v^2=2as

この式を変形すると以下の式が導き出せます。

as=-\frac{1}{2}v^2……②

弾丸が粘土にした仕事はW=Fxとなるので、①②式から

W=Fx=-max=-m(-\frac{1}{2}v^2)=\frac{1}{2}mv^2

上記の式が導き出されます。
弾丸が粘土にした仕事が弾丸の持つ運動エネルギーに等しくなるので、右辺が弾丸の持つ運動エネルギーになるわけです。

運動エネルギーの式からわかること

運動エネルギーの公式
運動エネルギー:K=\frac{1}{2}mv^2

この式から分かることですが「物体の持つ運動エネルギーは物体の質量に比例し、速度の2乗に比例」します。
つまり重く速い物体ほど運動エネルギーを持つわけですが、例えば質量が2倍になっても運動エネルギーは2倍のままですが、速度が2倍になると運動エネルギーは4倍になります。

ニュースなどで交通事故で車がぺしゃんこになっている場面がありますが、運動エネルギーが大きければ大きいほどその物体は仕事をする能力があるため、スピードを出せば出すほど事故になった時の車の壊れ方が激しくなります。2倍の速さで走れば事故になった時の被害は4倍に、4倍のスピードを出せば事故の被害は16倍になるわけです。もしあなたが免許を取ってもスピード違反にだけは気をつけてくださいね(笑)

まとめ

まとめ
運動エネルギーの公式:K=\frac{1}{2}mv^2

物体の持つ運動エネルギーは物体の質量に比例し速度の2乗に比例する

ぜひ上記の公式は丸暗記するのではなく導出を自分でもやってみてください。
きちんと本質を理解することを意識づければ、自然と物理の成績はアップするはずですよ。

力学についてさらに詳しく勉強したい方は、こちらのまとめ記事をぜひ参考に↓↓↓

【力学についてもっと詳しく学ぶ】
力学の要点まとめ【物理の偏差値を上げる方法】

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