波動の分野で多くの受験生が最初につまずくのが「縦波と横波の違い」です。
縦波と横波を言葉として覚えているだけで、その違いを物理現象として理解できていない受験生は危険です。
ただ言葉を覚えておくだけでは問題は解けないので、共通テストや定期試験で失点してしまうかもしれません。
失点を避けて波動を得点源にしてもらうために、縦波と横波を簡単にイメージできるようわかりやすく解説しています。
「縦波横波がいまいちわかってない!」という受験生は、何度も反復して必ず理解するようにして下さいね。
それでは始めましょう!
目次
縦波と横波とは?
縦波とは?
縦波とは、波形の進行方向と媒質の振動方向が同じ波のことを言います。
これでは理解しにくいと思うので、図で理解しましょう。
まず、波が伝わる媒質は、ばねの性質を持ちます。
空気で例えると、空気内の気体分子同士がばねとばねでつながっているイメージですね。
ばねとばねで繋がった気体分子と気体分子が連動しているイメージです。画像で表すとこんな感じです↓。

下の図のように左端の玉を左右に動かしてみます。次の図のように波が媒質中を伝わっていきます。
疎と密の部分がスライドするように移動するイメージです。

図のように縦波は媒質が密になっている部分と疎になっている部分があるので疎密波とも言います。
横波とは?
横波とは、波形の進行方向と媒質の振動方向が直角の波のことを言います。
横波についても図で理解する事が大切です。
縦波の場合は左端の玉を右側に押してみましたが、今回は左端の玉を上に振ってみましょう。そうすると図のように波は媒質中を伝わります。
山と谷がスライドするように移動するイメージです。

(図はあくまでイメージです。)
音が縦波なのはなぜ?イメージしやすいように解説します
縦波と横波の基本的な現象を図で学んでいきましたが、私たちが普段耳にしている「音」は縦波であるということを知っていますか?
なぜ音波は縦波なのか?理由を考えてみましょう。
まず音を出すことで空気が波の進行方向に押されて縦波になります。図を見て理解して下さい。

以上からわかると思いますが、音の速さとは波が空気が伝わる速さであり、媒質の移動速度ではありません。
気体分子と気体分子がぶつかり合って振動し、音が伝わっています。「気体分子=媒質」の進行方向と波の進行方向が一致するので、音波は縦波というわけですね。
縦波の横波表示のやり方
横波は波の進行方向と直角なので、波の形をグラフに表しやすいです。一方で縦波は波の進行方向と媒質の振動が平行なので、グラフに表しにくく、一般的に縦波を考えるときは横波に形を変えて表示してあげます。
横波を図に表すと下の画像のようになります。

縦波は波の進行方向と同じ向きに進んでいて、波形がグラフには表しにくいので、縦波を横波に表して簡単に疎密を判断できるようにしています。
図を見てください。

図のように、縦波で疎な状態を山と谷、密な状態を変位が0の状態(波とx軸が交わる状態)として横波で表現します。
y-xグラフのyが正の向きに変位している時の媒質は、実際にはx軸の正の向きに変位しているという意味になります。逆にyが負の向きに変位しているときは、実際にはx軸の負の向きに変位しているということです。
波が伝わる様子をグラフと確認する
この例では波の速さがx軸の正の方向に 1 m/s の縦波を横波表示に表します。

この時は密の位置はx=1.5、疎の位置はx=0, 3になります。
1秒後の波の様子を見てみましょう。
これは正弦波をx軸の正方向に 1 m だけスライドさせたのと同じになります。

この場合は、密はx=2.5、疎はx=1, 4になります。
このように t 秒後の縦波の様子は横波表示して t 秒間に進んだ分だけスライドすれば良いことになります。
縦波と横波の例題
縦波が媒質中を速度 2 m/s でx軸の正の向きに進んでいる状態を考える。下図の状態から1秒後の状態の波の状態を横波表示で図示せよ。また密の部分のx座標を答えよ。

例題の解答
1秒後の波の状態を求めるので、正弦波をx軸の正の方向に 2 m スライドさせます。
そして実際に縦波の様子を図示してみましょう。

密も部分のx軸座標を答えれば完璧です。
x=3.5
この記事のポイント
- 縦波…波形の進行方向と媒質の振動方向が同じ波
- 横波…波形の進行方向と媒質の振動方向が直角の波
- 縦波の横波表示…y-xグラフで媒質がyの正方向に変位している時は、縦波に直すとx軸の正に変位しているのと同等。正弦波とx軸の交点で疎密になる。
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