この記事では弦の振動による定常波の基本をわかりやすく解説していきます。
定期テストから国公立の2次試験までかなりの頻出問題ですから、苦手な人も復習したい人も、当記事をしっかり読んでマスターしてしまいましょう!
弦の振動の基本的な特徴
ではまずはじめに弦の振動の基本的な特徴から勉強していきましょう。結論から言うと、弦の振動は定常波の知識で全て説明することができます。
定常波のおさらい
まずはじめに定常波の基本からおさらいしましょう。定常波のもつ特徴の中で、弦の振動に関わる一番重要な特徴がこちらです。


以下の画像のように定常波の腹と腹(節と節)の間隔は半波長の長さと等しくなります。

定常波の腹と腹(節と節)の間隔は半波長の長さと等しくなる
この特徴が、弦の振動を考える上で非常に重要になってきます。
弦の固有振動と固有振動数
例えばギターの弦を振動させる時のことをイメージしてみてほしいんですが、必ず弦の両端は固定されていますよね。
つまり弦を振動させた時の定常波は、必ず両端が節になるということです。弦を振動させると、振動数によって以下の画像のように何個もの腹が連続したような定常波が発生します。

両端が節になる
弦は両端が必ず節になります。そのため弦に生じる定常波は、弦の長さがの整数倍になるような波長
をもつ波に限られます。(例えば左端が節で右端が腹のような状態にはならないということです。)
波の基本公式を考えると、波の速さが一定の時に波長が固定されると振動数fも一定のものに固定されます。
これを弦の固有振動と呼び、その時の振動数を固有振動数と呼びます。
固有振動は弦の振動のさせかたによって呼び名が変わります。腹が1つの振動(弦の長さと半波長の長さが一致する状態)を基本振動と呼び、腹の数がn個の振動をn倍振動と呼びます。

腹がn個の振動をn倍振動と呼ぶ
・弦に生じる定常波は弦の長さがの整数倍になるようなものに限定される。これを固有振動と呼び、この時の振動数を固有振動数と呼ぶ。
・腹が1つの振動を基本振動、腹がn個の振動をn倍振動と呼ぶ。
弦の振動の基本公式
では弦の振動の基本を理解したところで、公式について勉強しましょう。
弦の振動で理解しておかないといけない基本の公式がこちらです。
弦を伝わる波の速さ:・・・①
弦の固有振動数:・・・②
(S[N]:弦の聴力、[kg/m]:弦の線密度、n:整数、L[m]:弦の長さ)
そのまま覚えても良いですが、原理原則を理解した上で学習した方が覚えやすいので、公式の証明をしていきましょう。
基本公式の証明
まず①式ですが、これは高校物理の段階で証明を行わないのでそのまま覚えてしまいましょう。(波の速度は弦の張力に比例し、弦の線密度に反比例する。)
②式は弦の定常波の性質を考えれば証明できます。
弦に生じる定常波は「定常波は弦の長さがの整数倍になるようなものに限定される」という性質を持っていました。そのため以下の式が成立します。
あとは波の基本公式と上記の式を組み合わせてを取り除くと②式が導き出せます。
弦の振動の基本公式からわかるギターの特徴

ギターのような弦楽器は指で押さえる場所を変えて、弦の長さLを変えることで演奏をします。
②式からも「弦の長さLが長くなるほど振動数が小さくなる=音が低くなる」ことがわかりますね。
また、音の高さを調整するチューニングは、弦を引っ張ったり緩めたりして張力Sを調整することで音の高さを調整しますが、①から波の速度は弦の張力に比例することがわかりますね。
②式より速さ
が大きくなるほど「弦の振動数が大きくなる=音が高くなる」ので、チューニングで基本の音を高くしたい場合は弦を強く張ると良いということがわかりますね。
このようにギター1つについても物理の公式が深く関係していることがわかりますね。もしギターに触る機会があれば、ぜひ今回学んだ公式を思い出しながら鳴らしてみましょう。
実際の物理現象と公式を照らし合わせながら考えると、物理の理解度が大きく変わってきますよ。
まとめ
最後まで読んでいただきありがとうございました!
弦の振動の性質を最後にもう一度まとめておきます。
・弦に生じる定常波は弦の長さがの整数倍になるようなものに限定される。これを固有振動と呼び、この時の振動数を固有振動数と呼ぶ。
・腹が1つの振動を基本振動、腹がn個の振動をn倍振動と呼ぶ。
・弦を伝わる波の速さ:
・弦の固有振動数:
弦の振動は波動でもかなりの頻出問題なのでしっかりと性質を覚えておきましょう。
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では、また次の記事で会いましょう!
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