この記事では「直列接続と並列接続」について、それぞれの接続の違いをわかりやすく解説をしていきます。それぞれの回路の違いは電気回路の基礎となる重要な考え方です。
- これから物理を学ぶ高校生
- 物理を得点源にしたい受験生
に向けて、できるだけ噛み砕いて解説しますので、最後までしっかり読んで理解しましょう!
目次
電気回路の基本的な仕組み
電気回路の基本的な仕組みは簡単で「水の流れ」をイメージするとわかりやすいです。水は高いところから低いところに降りていきますが、電気も同じように高いところから低いところに移動するようになっています。
「高い」と言っても見た目上で高い位置にあるわけではなく、電子1つ1つのもつ位置エネルギーが高い状態のことを言います。電子のもつ位置エネルギーを電位と呼びますが、重力によって物体が位置エネルギーをもつのと同じように、電子も位置エネルギーをもち、電子の位置エネルギーが高い(電位が高い)ところから低いところに電子が移動することで電流が流れます。
電池は電子の電位を高める効果を持っていて、これを起電力と呼びます(力とついていますが向きと大きさをもつわけではありません)。電池は水を吸い上げるポンプのようなもので、電子をより電位の高い位置に持ち上げる効果を持っています。

電流はポンプが水を吸い上げて循環させる流れと一緒
ちなみに電流の流れる向きと電子の移動する向きは逆向きです。電子はマイナスの電荷を持っているので、実際の電流の向きと逆向きに進むのです。ややこしいですが「そういうものなんだな!」と割り切ってしまいましょう。電磁気学の勉強を進めていくと慣れてきますよ。
ではここからは電気回路の繋ぎ方と、それぞれの違いについて学んでいきましょう。
直列接続とは
まず直列接続についてです。直列接続とは画像のような、抵抗やコンデンサーを前後で繋いだ回路のことをいいます。

直列接続:抵抗などを連続して繋げる
並列接続とは
続いて並列接続について。並列接続とは画像のように、抵抗やコンデンサーを並列して繋いだ回路のことをいいます。

並列接続:抵抗などを横に並べて平行につなぐ
直列接続・並列接続の違い
同じ抵抗を2つ繋いだ回路でも、直列接続でつなぐ場合と並列接続でつなぐ場合では意味合いが全く変わってきます。
直列接続と並列接続を比較した時にどんな違いがあるか?を考えてみましょう。ここでの違いも「電流→水の流れ」に置き換えて考えるとわかりやすいです。

直列と並列、結局は何が違う?
直列回路を水流に置き換えて考える
まず直列接続の場合を考えましょう。直列接続の回路を水の流れに置き換えて考えると、以下のような図になります。

直列接続した抵抗を水の流れで考えると・・・
抵抗は水をせき止めるダムのようなものだと思ってください。水がダムによって一気に落ちるように、電気抵抗によって電子のもつ位置エネルギーが落ちるため、電位が下がる、と考えれば良いです。
抵抗を2つ直列で繋いだ場合、それぞれの抵抗で電位が下がることになるため電位が「高い・中間・低い」という3つの状態が出来上がるわけです。それぞれの抵抗にかかる電圧が、接続する位置によって変わるということですね。
並列回路を水流に置き換えて考える
では今度は並列回路の場合を考えてみましょう。並列回路を水の流れに置き換えて考えると、以下のような図になります。

並列接続した抵抗を水の流れで考えると・・・
直列回路と違い、2つのダム(抵抗)に水がせき止められて同じ高さまで水が落ちています。それぞれの抵抗で下がる電位は同じで「高い」状態と「低い」状態の2種類しかありませんね。
それぞれの抵抗にかかる電圧は全て同じ値になります。
家庭用コンセントは全て並列接続で常に電圧100V
直列接続と並列接続のそれぞれの場合の違いは理解できたと思います。ですがそれぞれの違いは実生活の中でどのように関わってくるのでしょう?それぞれの一番の違いを実感できるのが「コンセント」です。
「家庭用のコンセントは全て並列接続で電圧が100V」となるように設定されています。仮に例えばコンセントが直列接続で繋がれているとどうなるでしょうか。直列接続は接続される順番によって電圧が下がってしまいます。そのため直列で繋いだ場合、コンセントに接続する場所によって100V、50V、20Vと電圧が下がることになります。これでは使い勝手が悪いですよね。

コンセントが直列だと電圧が下がって使いにくい
並列接続は接続先にかかる電圧が全て一定です。コンセントを全て並列接続できるようにしておけば、それぞれの家電にかかる電圧が全て100Vになるというわけです。並列接続の方が使い勝手が良さそうです。

並列接続だと常に電圧が一定なので使いやすい
まとめ
直列接続と並列接続の基本的な違いは理解できましたか?それぞれの接続は「水の流れ」をイメージすると頭に残りやすいと思います。
電気回路の基本的な2つの接続の性質をしっかり理解しておきましょう!
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