電磁気学の学習には慣れてきましたか?
今回は電気力線について学習していきましょう。
本記事では、大学受験で物理を使う人向けに、「電気力線とは何か?」を、電気力線を考えるうえで欠かせない「ガウスの法則」について、電気力線に関する例題を交えながら解説していきます。
ガウスの法則は電気分野でも最強に重要で、電気分野の本質と言ってもいいでしょう。
ここを理解しているだけで今後の電気分野学習は大きく変わります。
今までの「クーロンの法則」や「電荷」、「電場」の知識が定着していないと難しいかもしれませんが、苦手意識がある人にもわかりやすく解説していますので、最後まで参考にしてみて下さい。
目次
電気力線とは何か?
電気力線とは「各点での電場ベクトルをつないだ線」のことです。
つまり、点電荷が電場により力を受けると、点電荷は電気力線に沿って動きます。
電気力線の性質
以下の3つの性質は必ず押さえておきましょう。
- 電気力線の向きは、正電荷の動く向きと同じ
- 電気力線は、枝分かれしたり、交わったりしない
- 「電気力線の密度は電場の強さに比例する」
つまり、電場が強いほど電気力線は密集する

ガウスの法則とは何か?
電気力線の単位面積当たりの本数を、その点での電場の強さと定義しています。
そこで、点電荷から出る電気力線の本数と大きさのある電荷から出る電気力線の本数について考えていきます。
点電荷から出る電気力線

の点電荷から出る電気力線の総本数を求めてみましょう。
真空中での点電荷を中心とする半径
の球面を考えると、球面上の電場の強さは、
で表されます。
正電荷からは電気力線が放射状に出てるので、この球面は電気力線に垂直になります。
従って、この球面のあたりを貫く電気力線の数は電場
本と表せます。
中心の正電荷から出る電気力線の総本数は、この球面全体を貫く電気力線の総本数に等しいので、
で与えられます。
大きさのある電荷から出る電気力線

ある閉曲面内に総電荷の電荷が存在するとします。
この時に、閉曲面を垂直に貫く電気力線の総本数は
になります。
詳しい証明は大学で習うのですが、閉曲面内の1つ1つの点電荷による電場を求めて、そこから和をとり、電気力線を求めるという流れになりますが、積分が絡むので、解説は省きます。
また、閉曲面の表面積をとし、電気力線の密度が閉曲面の表面で一様だとすると、閉曲面上の電場
は
になります。
電気力線に関する例題
クーロンの法則の比例定数をとして次の問いに答えよ。
に帯電した半径
の金属球から、
離れた電場の強さを求めよ。
ただし、金属球は導体である。
例題の解答を解説
指針
導体を帯電させたときは球の表面上に電荷が分布する。そして、導体内部には電場の強さはゼロになる。導体の外部は、ガウスの法則から電気力線の総本数がになります。なので、導体内部と外部で場合分けできるかがポイントになります。
解答
まずは金属球内部()の場合を考えます。
導体内部では、電場はゼロになるので、答えはゼロになります。
次に導体外部()を考えます。
ガウスの法則から電気力線の総本数は、
になります。
そして、金属球から出る電気力線の本数は、半径の球上で一様なので、そこでの電場は半径
の球の表面積で電気力線の本数を割ればいい、という事になります。
まとめ
電気力線「各点での電場ベクトルをつないだ線」
- 電気力線の向きは、正電荷の動く向きと同じ
- 電気力線は、枝分かれしたり交わったりすることはない
- 「単位面積当たりの電気力線の本数は電場の強さと等しい
電場の強いところほど電気力線は密集する
電気力線の総本数
電気力線の単元は、今までの「静電気力」や「電荷」、「電場」を利用するため極めて重要です。
しっかりと解説を読み込み、きちんと整理して、何度も反復するようにしましょう。
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