静電誘導ってなに?わかりやすく解説



今回は静電誘導について解説していきます。

これも「導体」を理解する上でとても大切な物理現象なのでしっかり理解したいところです。

コンデンサーにつながる内容なので、必ず理解しておきましょう。



静電誘導とは何か?

静電誘導とは、金属などの導体に起こり、「帯電体に近い側は帯電体と異なる種類の電荷が生じ、帯電体に遠い側は同じ種類の電荷が生じる」現象をさします。

その原理について詳しく解説していきます。

静電誘導の原理

金属などの導体は自由電子をもちます。

帯電体を近づけると、クーロン力を受け自由電子が移動し電荷の偏りを生じます。

例えば、金属に正の帯電体を近づけると、自由電子は引力を受け帯電体に近い側に移動しています。

近い側では自由電子が増えるので負に帯電し、遠い側では電子が少なくなるので生に帯電します。

ここで重要なのが、

『静電誘導で生じた正の電気量と負の電気量のい大きさは等しく、2つの和はゼロ』

となります。

また、帯電体を遠ざけると、導体中の自由電子の分布が元に戻るため、導体の電荷はなくなります。

導体に帯電体をより近づけたり、帯電体の電気量をより大きくすると、静電誘導によって発生する電気量もより大きくなります。

ポイント
  • 帯電体に近い側は異種の、遠い側は同種の電荷が生じる
  • 静電誘導で生じた正電荷と負電荷の電気量は等しい
  • 帯電体を近づけたり、帯電体の電気量を大きくしたりすると、静電誘導によって発生する電気量も大きくなる

静電誘導と間違えやすい誘電分極

誘電分極とは、「不導体に電荷を近づけると、不導体内の原子や分子が分極して、等しい量の正電荷と負電荷が発生する」現象をさします。

これは静電誘導と間違えやすいですし、コンデンサーを理解する上でとても大切なので、必ず理解するようにしましょう。

静電誘導に関する例題

問題
帯電していない箔検電器を用いて、次の操作を行った。ただし、はじめの箔は閉じている。

箔検電器の図

  1. 負に帯電した塩化ビニル管を金属板に近づけると、箔は開いた。この時、箔の電荷は正、負、0のいずれか?
  2. 近づけた塩化ビニル管をそのままにし、箔検電器の上部の金属板に指で触れると、箔の開きはどうなるか?
  3. 塩化ビニル管をそのままにして指を話し、次に塩化ビニル管を遠ざけた。箔の開きはどうなるか?また、この時、箔の電荷は正、負、0のいずれか?

例題の回答と解説

指針

帯電体を箔の閉じた箔検電器に近づけると、静電誘導によって箔に電荷が生じ、箔が開きます。同種の電荷は反発、異種の電荷は引き合うことを踏まえて、それぞれの操作で自由電子の移動について考えていく事がポイントです。

 

1.帯電体を近づけていない状態で、箔が閉じているという事は、箔の電荷は0になります。そこに負に帯電した塩化ビニル管を近づけると、金属中の自由電子が斥力を受けて、金属板から箔へと移動します。したがって、金属板は正、箔は負に帯電します。この時、箔は負電荷同志の斥力によって開きます。

 

2.金属板に指で触れる(接地する)と、箔にたまっていた自由電子は指を通って移動し、箔の電荷は0となります。このとき、金属板の正電荷は、塩化ビニル管の負電荷に引き寄せられたままです。箔は、電気的に中性となり、負電荷どうしの斥力がなくなるため「閉じます」。

 

3.指をはなしても箔は閉じたままです。負に帯電した塩化ビニル管を遠ざけると、金属板の正電荷は箔検電器全体に広がり、全体が正に帯電します。したがって、箔の電荷は「正」であり、箔は正電荷の斥力によって「開きます」。

まとめ

まとめ
静電誘導とは、

帯電体に近い側は帯電体とは異なる種類の電荷が生じ、帯電体に遠い側は同じ種類の電荷が生じる現象

 

ポイント

  • 帯電体に近い側は異種の、遠い側は同種の電荷を生じる
  • 静電誘導で生じた正電荷と負電荷の電気量は等しい
  • 帯電体を近づけたり、帯電体の電気量を大きくしたりすると、静電誘導によって発生する電気量も大きくなる

静電誘導を用いた問題として、箔検電器の問題はセンター試験にもよく出題されていました。

そのため、今後の大学入試共通テストにも出題される可能性は十分にあります。

しっかりと解説を読み込み、きちんと整理して覚え、解けるように何度も繰り返し練習するようにしましょう。


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