SI単位系とは物理学の基本的な単位の扱い方のルールを決めたもので、7つの単位を基本として様々な単位に派生していくという仕組みとなっています。
SI単位系そのものが受験で出題されることはないのですが、実はSI単位系を応用することで試験問題の解答スピードを大幅にアップさせることができるのです。実際、筆者は受験生時代にこの記事でお伝えする方法を活用することで、記述問題の解答スピードを10分は早めることができました。
SI単位系の基本から受験の得点アップに繋がる応用方法まで、元予備校講師がわかりやすく解説していきます。
SI単位系(国際単位系)ってなに?
まずSI単位系とは何か?ですが冒頭でもお伝えしたように物理学の基本的な単位の使い方のルールを定めたものです。国際単位系とも呼ばれています。
7つの基本単位を代数的に組み合わせることで、様々な物理量の単位を決めることができます。SI単位系以前にはMKSA単位系などの単位系が使われていたのですが、SI単位系が圧倒的に便利なため今では主流となっています。
SI単位系は
- 基本単位
- 組立単位
の2種類の単位を使って表すことができます。
①基本単位
基本単位はその名の通りSI単位系の基本となる単位で、以下の7つの単位があります。

表1:基本単位
大学受験で出題される物理の範囲ではカンデラ()は基本的に扱わないのでスルーしても大丈夫です。
上記の7つの基本単位を組み合わせて作られるのが組立単位です。
②組立単位
組立単位は基本単位を組み合わせて作る単位のことです。
例えば面積をあらわす平方メートルは、基本単位のを2乗した
で表されます。2乗になるのは四角形の面積が「底辺×高さ」で求められることからも、直感的に理解できると思います。
他にも力の大きさを表す(ニュートン)は、基本単位を組み立てて
で表すことができます。運動方程式から力は「質量×加速度」で表されますから、それぞれの単位の「
」と「
」をかけることで単位が決まる、ということです。
以下に受験物理の範囲で出てくる組立単位をいくつかまとめておきます。

表2:組立単位
表2で紹介した単位はかなりの頻度で出題されるので丸っと覚えておきましょう。
得点力をアップさせるSI単位系の活用術
SI単位系の基本は理解してもらえたと思いますが、おそらくこの記事を読んでいる受験生が一番知りたいのが「SI単位系を使ってどうやって得点をアップさせるの?」ということだと思います。
その方法が「検算に使う」というやり方です。
単位をチェックして検算のスピードアップ
試験本番はケアレスミスや計算間違いを回避するために検算をする必要がありますが、少ない試験時間の中で検算に割ける時間は限られています。
そんな時にぜひオススメしたいのが「単位のチェックをする」という検算術です。導き出した答えの単位をチェックして「SI単位系の組立単位と一致しているか」を確認するだけで、解答の精度がかなりアップします。
例えば以下のような問題があったとします。
![Rendered by QuickLaTeX.com m[kg]](https://juken-philo.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
![Rendered by QuickLaTeX.com g[m/s^2]](https://juken-philo.com/wp-content/plugins/lazy-load/images/1x1.trans.gif)
答えはもちろんです。この答えが正しいかの検算をしたいときは、単位をチェックするようにしましょう。
答えの重力は「質量×重力加速度」で表されていますが、質量と重力加速度それぞれの単位はと
で、導き出された重力の単位は
となります。
これを上記の表2でチェックしてみると、組立単位ではとなり、力の単位と一致するため当たっていると判断することができます。もしここで単位が
と一致しなければ、計算が間違っているので解答の過程を見直しましょう。
もちろん計算を1からやり直してチェックした方が検算としては正確ですが、限られた時間で1から計算をチェックするのは現実的ではないので、単位だけ確認した方が効率が良いです。
単位をチェックするクセをつけると、問題解答の精度が大きくアップするのでオススメですよ。
まとめ
SI単位系を活用した検算の方法を最後にまとめておきます。
①導き出された答えの単位を確認する
②組立単位をチェックして一致するか確認する
③単位が一致しない場合は計算を確認する
SI単位系を活用した検算術で得点力と解答スピードどちらもアップさせちゃいましょう!
コメントを残す