この記事では「熱力学第一法則」について、式の成り立ちからわかりやすく解説をしていきます。
- これから物理を学ぶ高校生
- 物理を得点源にしたい受験生
に向けて、できるだけ噛み砕いて解説しますので、最後までしっかり読んで理解しましょう!
物体がもつエネルギー=内部エネルギー
フライパンをコンロで炙ると、見た目に大きな変化は起こりませんが熱すぎて触れなくなります。
当たり前ですが、物体を熱すると温まります。物体が熱量を受け取ることで、物体を構成する原子や分子が振動して熱を発し、温度が高まるわけです。
ここで注目したいのが熱エネルギーと力学的エネルギーの関係です。温度がどれだけ上がっても、物体が静止した状態であれば力学的エネルギーは一切変化しません。
ですが例えば熱した鉄を水を温め、蒸気を発生させれば蒸気機関として物を動かすことができます。熱い物体は熱演として仕事ができるので、冷たい物体よりもエネルギーを持っているということになります。
物体の力学的エネルギーの状態に関係なく、その内部に蓄えているエネルギーを内部エネルギーといいます。内部エネルギーの詳しい解説はこちらの記事にも書いてあるので合わせて参考にしてください。
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内部エネルギーってなに?わかりやすく解説してみた
詳しくは記事を読んで欲しいのですが、ざっくりと「温度が高いほど物体の内部エネルギーは高くなる」と理解できていればOK。
内部エネルギーは物体を構成する分子の運動エネルギーの総和なので、気体分子運動論を考えると温度が上がるほど内部エネルギーも高まる、ということがわかります。
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気体分子運動論ってなに?わかりやすく解説してみた
熱力学第一法則
熱力学第一法則とは、平たく言ってしまえば「内部エネルギーがどのように変化するか?」を表した法則です。
「温度が上がる=内部エネルギーが高まる」ので、温度をあげたり下げたりすることで内部エネルギーを変化させることができそうです。
物体の温度をあげる方法は大きく分けて2つあります。
- 熱いものにくっつける
温度が低いものに熱いものをくっつけると、高い方から低い方に熱が移り、温度が上がります。フライパンをコンロで炙れば温度が上がり、熱したフライパンに卵を加えたら温度が上がって凝固しますね。 - 擦る(こする)
冷たい物質でも、こすり合わせれば摩擦熱で温度が上がります。これはつまり物体に仕事をすることで温度をあげることができるということです。
上記の2つの方法からもわかるように、内部エネルギーは外部から加えられた熱量と外部からされた仕事によって増える、と考えることができます。
内部エネルギーの変化量を、熱量受け取った(捨てた)熱量を
、外部からされた仕事を
とすると、以下の式が成り立ちます。
これが熱力学第一法則です。内部エネルギーの変化量は、外部から加えられたまたは放出した熱量と、外部からされたまたは外部にした仕事の和で表せる、という法則です。
外部からされた仕事を式で表す
熱力学第一法則の右辺のうち、仕事についてもう少し深掘りして考えてみましょう。
例えば図のようなピストン装置を用意し、記号を割り当てます。ピストンは滑らかに動くものとします。

ピストンを押し込んで静止した状態
は、基準点からピストンをどれだけ押し込んだか?を表しており、
だけ押し込んでピストンが静止したものとします。
この時、ピストンを押し込む力、ピストンがした仕事
、体積の変化量
、気体の圧力を
とすると
・・・①
→
・・・②
→
・・・③
が成り立ちます。
②式に③式を代入してみると、
・・・④
④式を①式に代入すると
上記の式から、外部からの仕事は体積の変化量と圧力に比例するということがわかりました。この関係式は熱力学の頻出なので覚えておきましょう。
これを熱力学第一法則に代入すると、熱力学第一法則を拡張して考えることができます。
まとめ
熱力学第一法則について、その成り立ちや背景について理解できましたか?
ただ関係式を覚えるだけではなく、なぜその式が成り立つのか?その背景まできちんと理解して公式を使いこなしましょう!
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