気体の状態変化ってなに?わかりやすく解説



この記事では「気体の状態変化」について、理想気体の状態が条件によってどのように変化するか、わかりやすく解説をしていきます。

  • これから物理を学ぶ高校生
  • 物理を得点源にしたい受験生

に向けて、できるだけ噛み砕いて解説しますので、最後までしっかり読んで理解しましょう!



特定の条件で気体の状態を変化させるとどうなる?

ピストンに理想気体を封入した時、熱力学第一法則とボイルシャルルの法則を考えると

\Delta{U}=\Delta{Q}+W

\frac{pV}{T}=kk:定数)

が成り立ちます。

理想気体の条件を様々に設定した時、それぞれの式を使って理想気体にどんな現象が起こっているかを考えてみましょう。

今回考察するパターンは以下の4つです。

  1. 定積変化
  2. 定圧変化
  3. 等温変化
  4. 断熱変化

定積変化

まずは定積変化、つまり体積を一定の状態に保った時にどんな現象が起こるかを考えてみましょう。定積変化は画像のピストンを固定した状態で、ピストンを温めたり冷やしたりします。

ピストンを固定した状態で熱を加える

気体の状態方程式の記事で解説しましたが、W=p\Delta{V}となるため、体積が変化しないときは気体は外部から仕事をされず、また外部に仕事をすることもありません。

よって

\Delta{U}=\Delta{Q}

となります。内部エネルギーの変化量が外部とやりとりした熱量と一致するということです。

ボイルシャルルの法則を考えるとVが一定になるため

\frac{p}{T}=k

となります。圧力と温度が比例の関係になるということ。要は体積を一定にして熱すると、圧力と温度が上がるということです。

定積変化は圧力鍋の原理に応用されています。圧力鍋は蓋を固定して体積を一定にすることで、圧力と温度を高めて調理時間が短くなるように設計されています。


定圧変化

次は定圧変化、つまり圧力を一定にした状態で理想気体にどんな変化が起こるか考えてみましょう。

定圧変化は少しイメージしにくいかもしれませんが、外部の圧力とピストン内部の圧力が常に一定の状態ということです。シリンダーを熱すると理想気体が膨張し、それに伴ってピストンが伸びます。

ピストンが伸びて外部の圧力と釣り合ったら温めるのを止めて、理想気体が冷えて体積が減る、という状態を繰り返します。

常に圧力が一定になるようピストンを動かす

ピストンは理想気体に対して負の仕事をするため

\Delta{U}=\Delta{Q}-p\DeltaV

となります。

圧力が一定の時、ボイルシャルルの法則は

\frac{V}{T}=k

となります。これはシャルルの法則そのままですね。圧力が一定の時、体積と温度は比例関係になります。

等温変化

次が等温変化、温度を一定にした状態での変化です。熱を放出しやすいシリンダーを使って、ピストンをゆっくり動かしながら温度を一定にします。

熱を放出して温度を一定に保ちながらピストンを動かす

気体分子運動論の記事で学んだように、内部エネルギーの変化量は温度の変化量に比例します。つまり温度が一定の状態では内部エネルギーが変化しないので

0=\Delta{Q}+W

となります。シリンダーを熱するとピストンが外に動いて負の仕事をし、シリンダーが冷やされるとピストンが理想気体を圧縮して正の仕事をします。

ボイルシャルルの法則を考えると、Tが一定のため

pV=k

となります。これはボイルの法則そのままで、圧力と体積が反比例関係になるということです。

断熱変化

最後が断熱変化、シリンダーに熱量を加えずにどんな変化が起こるかを考えます。

熱を加えずにピストンを動かす

熱量が0のため

\Delta{U}=W

が成り立ちます。内部エネルギーの変化量は外部からの仕事で全て決まるということです。

ボイルシャルルの法則は熱量の変化に依存しないため、

\frac{pV}{T}=k

となります。

断熱状態でピストンを押すと理想気体の圧力と温度が上がります。体積が小さくなると気体分子と容器の衝突回数が増えるため圧力が上がり、分子の速さも増す(運動エネルギーが増大する)ためです。

逆にピストンを引くと圧力と温度が下がります。体積が大きくなり衝突回数が減り、分子の運動エネルギーも減るため温度が下がるということです。

まとめ

気体の状態変化について、それぞれのパターンについて理解できましたか?

ただ関係式を覚えるだけではなく、なぜその式が成り立つのか?その背景まできちんと理解して公式を使いこなしましょう!

熱力学についてさらに詳しく勉強したい方は、こちらのまとめ記事をぜひ参考に↓↓↓

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