ドップラー効果をわかりやすく解説②:音源が動く場合



当記事ではドップラー効果の「音源が動く場合」について、公式の成り立ちからわかりやすく解説していきます。

前回の記事ではドップラー効果の原理について、画像を使いながらわかりやすく解説しました。前回の記事を読んでから先に進むとより理解度が深まるのでおすすめです。

前回の記事→ドップラー効果をわかりやすく解説①

では、早速本編に進みましょう!



音源が動く場合のドップラー効果を画像でイメージしよう

まずは前回の記事の復習から。音源が動く場合になぜ音が違って聞こえるか?ドップラー効果の原理をイメージを使って理解していきましょう。

音源が止まった状態で音波を発している場合、画像のように常に一定の波長の音波を観測者は観測するようになります。

画像の円の部分が音波の波面で、波面と波面の間の長さが波長です。音源が発する音が一定であれば、当然波長が変化することはありません。

では音源が観測者に近づいている場合を考えてみるとどうなるか?画像のように音波の波面が圧縮された(=波長が短くなる)状態で観測することになります。

波の基本公式を考えると、波長が短くなるほど波の振動数が大きく(音が高く)なるので、音源が近づく場合は音は実際よりも高く聞こえるようになります。逆に音源が観測者から離れる場合波面の間隔が広くなる(波長が長くなる)ので、音は低く聞こえます。

音源が動く場合のドップラー効果を式で表す

ここまでが音源が動く場合のドップラー効果の原理です。次は

  1. 音源が観測者に近づくパターン
  2. 音源が観測者から離れるパターン

それぞれについて、イメージではなく式で表すにはどうするか?考えてみましょう。

パターン1:音源が近づく場合

音速をV、音源の音波の波長を\lambda、振動数をf_sとした時、音源が速さv_sで観測者に近づいたとしましょう。

もし音源が止まっていた場合、波の基本式から波長は\frac{V}{f_s}になるはずです。ですが、実際は音源が観測者に近づいており、音源は自分が発した音を追いかけるようにして次の音波を発するため、波面は圧縮されます。

単位時間(1秒間)に音波はV進み、音源はv_sだけ進むため、その間に送り出されたf_s個の波面が、画像のようにV-v_sの間に圧縮されます。

そのため観測者が観測する波長{\lambda}'

{\lambda}'=\frac{V-v_s}{f_s}・・・①

で表すことができます。

観測者が静止している場合、観測する音波の振動数はf=\frac{V}{{\lambda}'}で表すことができるため、①式を代入して

f=\frac{V}{V-v_s}f_s

これが音源が観測者に近づく場合のドップラー効果の公式です。

パターン2:音源が離れる場合

では続いて音源が観測者から離れる場合です。この時、パターン1とは逆に波面の間隔が広まるため波長が実際よりも長く延ばされます。

パターン1と同様に単位時間で考えると、その間に送り出されたf_s個の波面が、画像のようにV+v_sの間に収まることになります。

そのため観測者が観測する音波の波長は

{\lambda}'=\frac{V+v_s}{f_s}・・・②

で表すことができます。

あとは②式を波の基本公式に代入すれば、音源が観測者から離れる場合のドップラー効果の式が導き出せますね。

f=\frac{V}{V+v_s}f_s


音源が動く場合のドップラー効果の基本公式

パターン1とパターン2で導き出した式を、1つの公式にまとめると以下のようになります。

音源が動く場合のドップラー効果の基本公式

f=\frac{V}{V-v_s}f_s

(音源が観測者に向かう向きを正とする)

音源が近づく場合はv_sを、離れる場合は-v_sを代入すればパターン1、パターン2でのそれぞれの式を導くことができますね。

理解できたらドップラー効果の解説その③へ進もう!

音源が動くパターンとドップラー効果の式を導出してみましたが、ぜひ今回解説した公式は自分でも導き出せるように練習してみてください。

友達に「音源が動く場合はこう考えるんだよー!」と口頭で説明してみても力がつくと思います。

ドップラー効果は公式を丸覚えしてそのまま使おうとするとややこしくなるため、なぜ音が高くなったり低くなるか?をイメージしながら式を導くのが、得点力アップのコツです。

次の「ドップラー効果の解説その③」記事では観測者が動くパターンの公式について解説していきます!

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