この記事では波動の分野で学ぶ「くさび形空気層による干渉」の原理原則について解説していきます。
くさび形空気層による干渉は、光の干渉を応用した問題で、定期テストや試験本番で一度は出題されるであろう超頻出単元です。光の干渉と媒質を進む光の性質をまとめて考えることができる良問なので、しっかりと理解できれば受験本番の力強い得点源になってくれるはずです。
- これから物理を学ぶ高校生
- 物理を得点源にしたい受験生
に向けて、できるだけ噛み砕いてわかりやすく解説していきますので、ぜひ最後まで楽しんで学んでいきましょう!
目次
くさび形空気層による干渉:ガラスとガラスを重ねて空気の層を作る
画像のように2枚の平面ガラスを重ねて、片側に薄い紙を挟み込みます。

このガラス面を上から見てみると、下のガラスと上のガラスで反射した光が干渉しあって縞模様が映し出されます。

これをくさび形空気層による干渉実験と呼びます。
薄膜による干渉実験やニュートンリングと同じくらい、光の干渉の分野で超頻出の問題です。今回はこのくさび形空気層による干渉の強めあい、弱めあいの条件を考えていきましょう。
くさび形空気層による干渉条件
ではまずはじめに、くさび形空気層による干渉条件の公式から学んでおきましょう。

弱め合う時:

この公式はただ覚えるだけでなく実際の導出過程を理解することが大切です。
公式を導出してみる

図のようにそれぞれの記号を割り振ります。この時2つの光の光路差がとなり光路差が光の干渉条件にどのように当てはまるか?を考えることで、強め合う時と弱めあう条件がわかります。
一般的にガラスのほうが空気より屈折率が高いです。そのため上のガラスで反射した光は固定端反射、下のガラスで反射した光は自由端反射をします。(「?」と頭に疑問符が浮かんだ受験生はこちらの記事を参考にしてください。)
よってそれぞれの光の位相はだけずれることになります。
くさび形空気層の干渉の場合、光路差を使うよりも
と
を使って干渉条件を導き出したほうが都合が良さそうです。
三角比を考えるとが成り立つので、光路差は
となります。
あとは逆位相の時の干渉条件に光路差を当てはめれば良いので、以下の公式が導き出せるというわけです。
強め合う時:
弱め合う時:
θが限りなく小さいとき
が十分小さいとき、
が成り立ちます。よってこの時の干渉条件は以下のようになります。

弱め合う時:

例えば試験問題で「は十分小さいものとする」といった注釈が載っている場合、
のまま回答を書くと減点になることもあるので覚えておきましょう。
くさび形空気層による干渉の問題解法3つのポイント
定期テストや大学受験本番で出題されるくさび形空気層による干渉の問題は、当記事で解説してきた公式の導出過程を応用したパターンが出題されることがほとんどです。
大抵の場合はほとんどパターン化されているのですが、解法のポイントは大きく分けて以下の3つ。
ポイント②:光学的距離を考える
ポイント③:媒質の境界での反射の性質を理解する
それぞれのポイントの詳しい解説については薄膜による干渉実験の解説記事ですでにお話しているのでここでは省きます。さらに詳しく学びたい!という偏差値アップに本気の受験生は下記の記事をぜひ参考にしてみてください。
【合わせて読みたい】
薄膜による干渉ってなに?わかりやすく解説してみた
まとめ
くさび形空気層による干渉について原理原則がしっかりと理解できるまで、繰り返し記事を読み込んでください。読み込んで理解できたら、知識を定着させるために問題集などで例題も解いてみましょう。
特にくさび形空気層による干渉は公式の導出を応用したパターンが出題されることがほとんどなので、公式を導き出す手順について実際に紙とペンで書き出して練習するようにしてみてください。
では、最後まで読んでいただきありがとうございました!
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