この記事では力学で扱う基本的な知識である「重心」について解説していきます。力のモーメントの分野でも重要な重心をしっかり理解していきましょう。
今回の記事では重心の基本的な性質の説明をしたのちに、実際の問題を出題して解くことで理解度を深めてもらいます。
- これから物理を学ぶ高校生
- 物理を得点源にしたい受験生
に向けて、できるだけ噛み砕いてわかりやすく解説していきますので、ぜひ最後まで楽しんで読んでください。
重心ってなに?
鉛筆の中心あたりに指を添えると、鉛筆は落ちることなくゆらゆらとバランスを取り続けていきますよね。これは指を添えた位置に重心があるためです。重心の定義は以下の通りです。
重力の作用点を重心と呼ぶ。大きさのある物体を質点の集合体として考えた時、重力はある一点にだけ働いていると考えられ、その点が重心である。
大きさのある物体を「質量がある大きさの無視できる点(質点)が大量に集まってできたもの」として考えましょう。画像のように物体を大きさが無視できるくらい微小なサイズに切り分けた時、その全てに重力が働きます。

微小に分けた物体1つ1つに働く重力が、ある一点に働いていると仮定した時、その点を重心として考えます。

重心は微小サイズに切り分けた物体の重力を合成した「重力の合力」の作用点になるということです。画像のような四角形や円、棒のような直線状の物体など、均質な物体の場合は物体の中心が重心になります。
大きさのある物体の重力を扱うよりも重心というある一点に働く重力を扱う方が計算しやすいので、重心という考え方が発見されたというわけです。
重心の公式
重心の基本的な考え方が理解できたところで、重心の公式について考えましょう。重心の公式は以下のようになります。
物体を構成するn個の質点の質量をそれぞれ、
、/…
、質点の座標を
、
、…
、とした時、重心の座標は以下の式で表される。
公式を覚えるのも大事ですが、なぜこの式が導き出されるか?を理解することも大切です。
公式の導出方法について学んでいきましょう。
重心の公式の導き方
公式では平面上にある物体の重心をを使って表していますが、今回は簡単に直線上の物体の重心について考えてみましょう。
図のように、原点からの位置に質量
の物体、原点から
の位置に質量
の物体があるとします。この時2つの物体が質量の無視できる棒で固定されていると仮定した時、2つの物体の重心
がどこにあるのかを考えてみましょう。

ここで重心周りの力のモーメントのつりあいを考えてみます。反時計回りをモーメントの正とした時に、以下のつりあいの式が成り立ちます。
この式を変形すると
・・・①
が成立します。
あとは①式を変形してについて整えましょう。
→(両辺を
で割る)
→
→
→
→
これで公式と同じ形になりました。あとはn個の場合は
が成立するというわけです。今回は直線上にある物体の重心を導き出すためx軸のみで考えましたが、y軸についても同様に考えれば公式が導き出せます。
重心の問題を解いてみよう
では問題を解いてみて重心についての理解度をチェックしましょう。
以下の座標にある2つの物体の重心の座標を求めよ。

制限時間は5分です。実際に解いてみましょう。
答え
(2 , 2.5)
【解説】
まずは重心のx座標を求めてみましょう。公式にそれぞれの質量と座標を代入すると
y軸についても同様に解くと、
よって答えは(2 , 2.5)になります。
まとめ
重心の基本について学んできましたが、いかがでしたか?
重心は力のモーメントの中でも基本中の基本ですから、しっかりと理解できるまで繰り返し記事を読み込んでください。読み込んで理解できたら、知識を定着させるために問題集などで例題も解いてみましょう。
重心の問題を得点源にして定期テストや受験本番を乗り切りましょう!では、最後まで読んでいただきありがとうございました!
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