変圧器の原理をわかりやすく解説



この記事では「変圧器の原理」についてわかりやすく解説をしてきます。

変圧器は電磁気学の交流の分野で重要な役割を持った装置なのですが、

  • これから物理を学ぶ高校生
  • 物理を得点源にしたい受験生

に向けて、できるだけ原理を噛み砕いて解説しますので、最後までしっかり読んで理解しましょう!



変圧器ってどんなもの?

変圧器とは図のような四角形の鉄心に2つのコイルを巻いた装置で、交流の電圧を変換することが可能な装置です。

1次コイルの電圧を2次コイルで変換できる

1次コイルに交流を流すと相互誘導によって2次コイルに電圧が起こるのですが、それぞれのコイルの巻き回数と電圧には以下の関係式があります。

変圧器の公式

\frac{V_1}{V_2}=\frac{N_1}{N_2}

変圧器の公式を変形するとV_2=\frac{N_2}{N_1}V_1となりますが、この式から変換後の電圧は2次コイルの巻き回数に比例し、1次コイルの巻き回数に反比例することがわかると思います。

公式からもわかるように、交流は変圧器を使うことで電圧を自由に変えることができるため、非常に便利なのです。

(※ちなみに電圧を変化させられるのは交流のみで直流を流しても変化しませんので注意しましょう。)

変圧器は電気のムダを減らすために発明された装置

変圧器は交流の電圧を自由に変えることができますが、この特徴のおかげで電気を供給する時のムダを大きく減らすことができます。

日本の家庭用のコンセントの電圧は100Vに統一されており、家電は全て100Vの規格に合わせて動くように作られています。

発電所から送られてきた電気を変圧器に通して電圧を変換して100Vにしているのですが、送電する電気は電圧を高めれば高めるほど電気エネルギーの損失が少ないという特徴を持っています。

電気は高電圧で送電した方が損失が少ない

下の図は送電の仕組みを簡単に図解化したものです。発電所から変圧器に向かう送電線と、変圧器から発電所に戻る送電線の抵抗はそれぞれ1.0[Ω]とします。送電線に繋がれた変圧器から各家庭に電力が供給されているとイメージしてください。

各家庭に電力を供給する回路の図

発電所から100[kW]の電力を送りたいとしましょう。この時

  1. 電圧1000[V]、電流100[A]で送る場合
  2. 電圧10000[V]、電流10[A]で送る場合

それぞれのパターンで電力を供給したとしましょう。

送電線の抵抗が発するジュール熱は合計でRI^2\times{2}となるので、パターン①とパターン②それぞれで消費するジュール熱は以下のようになります。

  1. 電圧1000[V]、電流100[A]で送る場合→送電線が発するジュール熱=20000[J]
  2. 電圧10000[V]、電流10[A]で送る場合→送電線が発するジュール熱=200[J]

パターン①とパターン②でジュール熱が100倍違うことになりますね。送電線が熱を発するということはそれだけエネルギーの損失が大きいということですから、電圧が高いほど電力供給のロスが少なくなるということです。

家庭用のコンセントに100Vの電圧を直接供給するよりも、高電圧の電気を発電所で作って変圧器で家庭用に100Vで供給する方が、効率が良くなります。

変圧器はコイルの巻き回数に応じて交流の電圧を自由に調整できますから、電気のムダを減らす画期的な電力供給装置というわけです。


まとめ

最後まで読んでいただきありがとうございました!変圧器の基本的な原理について理解できましたか?


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