この記事では波動の分野で学ぶ「フィゾーの実験」について解説していきます。
フィゾーの実験は大学受験の試験問題の題材にもよく選ばれる実験で、公式を使って問題を解くというより、「原理原則を式を使って光の速さを導き出す」といった主旨で出題されることが多いです。
当記事では大学受験生向けに、フィゾーの実験の原理原則の解説から一般的な出題パターンまでの解説をわかりやすく解説していきます。
- これから物理を学ぶ高校生
- 物理を得点源にしたい受験生
に向けて、できるだけ噛み砕いて解説しますので、ぜひ最後まで楽しんで学んでいきましょう!
フィゾーの実験:光速を測ることを目的とした実験
光はものすごい速さで進むということは、古代ギリシャの時代から考えられていたことでした。
中世ヨーロッパではガリレオが光の速さを測定するために、2つの山の頂上で一方がランプを光らせ、もう一方が確認するまでの時間を測ることで光速を割り出そうとしましたが、当然失敗に終わります。光は1秒間で地球を7周半するほどのスピードなのですから、計測できないのは当然ですね。
ガリレオ以降も様々な方法で光の速さを計測する試みが実践されてきましたが、歴史上で光速の測定に初めて成功したのがフィゾーです。
フィゾーは光源と鏡の間に歯車を設置した図のような装置を用いて、光速を測定しようとしました。

歯車が止まっている時は光は歯車の隙間を通過して光を反射し、往復してハーフミラー(半透明の鏡)を通して反射光を計測することができるます。
歯車の回転数を上げていき、次第に回転のスピードを上げていくと、光が反射して戻ってくる時にちょうど歯で遮られて光が見えない瞬間があります。
この時の歯車の回転数と歯の数から光が往復する時間を計算できる、というのがフィゾーが行った実験です。
実験を通してフィゾーは光速をと求めました。実験によってフィゾーが光速を求めるために行った計算の過程が、大学受験でよく出題されます。
実際の問題を解いてみよう
では、フィゾーがどのようにして光速を求めたか?実際の問題を解いてその過程を勉強してみましょう。

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制限時間は5分間です。ここから先は実際に問題を解いてみてから読み進めるようにしましょう。
答え
解説
まず、光速を求めるための基本方針を考えましょう。速さは「距離÷時間」で求めることができます。
今回は問題の中で反射鏡から歯車までの距離が与えられているので、あとは「反射鏡と歯車の間を光が往復した時間」がわかれば光速を求めることができそうです。
歯の数が個であることから、光が歯車を通過してから反射光が遮られるまでに
だけ回転することになります。
この時としないのは、光が歯車の隙間を通って隣の歯に反射光が当たるまでの回転数を知りたいからです。
としてしまうと、ある歯から次の歯までの回転数となってしまいます。
また、この時、歯車の回転数がと与えられているため、歯車の周期は逆数をとって
で表すことができますね。
よって歯車がだけ回転するまでにかかる時間は以下の通りです。
・・・①
①が光が歯の間を通って反射し往復するまでの時間です。あとは「距離÷時間」で光速を求めれば答えが出ますね。
・・・(答)
まとめ
フィゾーの実験について原理原則がしっかりと理解できるまで、繰り返し記事を読み込んでください。読み込んで理解できたら、知識を定着させるために問題集などで例題も解いてみましょう。
特にフィゾーの実験は光速の式の導出過程が出題されることがほとんどなので、公式を導き出す手順について実際に紙とペンで書き出して練習するようにしてみてください。
では、最後まで読んでいただきありがとうございました!
フィゾーは「歴史上初めて光速を測定した」というより、「歴史上初めて、地上での実験によって光速を測定した」人物ではないでしょうか?オーレ・レーマーやジェームズ・ブラッドレーがフィゾーよりも先に光速を測定しています。ジェームズにいたっては、フィゾーよりも正確な値を出しています。めっちゃ細かいこと言ってすみません(汗)